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恩田晃 ――アジア音楽の多様性を伝える、音のキュレーター
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冨士山アネット『DANCE HOLE』2/4~9@のげシャーレ
岡崎藝術座『+51アビアシオン, サンボルハ』『イスラ!イスラ!イスラ!』
TPAMとは?
TPAMは、『東京芸術見本市 (Tokyo Performing Arts Market)』として、当初は文字通りパフォーマンス作品を世界に発信することを目的として1995年に始まった。2011年に横浜に開催地が移ってからは、TPAMのMを「Market」から「Meeting」に変え、舞台芸術に携わる人々の情報交換、交流、育成を目的とした国際的なミーティングの場として歴史を重ねてきた。昨年は41か国から200名近い舞台芸術関係者が来日し、国内からも約500人が参加。一般観客も含めた動員数はのべ15,000人にのぼった。
昨年度からは特にアジアにフォーカスして緊密な交流をはかることで、アジアでも有数の影響力のあるイベントに成長している。さらに今年からは、音楽部門を加えるとともに、共同製作、アーティスト・イン・レジデンスにも取り組んでいる。
期間中には横浜のあちこちでダンス、演劇、音楽などの公演が目白押し。専門家だけでなく、誰でも鑑賞でき、世界で活躍する勢いのあるアーティストのステージが身近に、そして安価(平均約3,000円)で見られる絶好のチャンスとなっている。舞台芸術ファンのすそ野を広げる有意義なイベントでもある。
横浜とパフォーミング・アーツ
横浜の臨海部には規模の異なるたくさんの劇場、スペースが集中しており、この時期に開催される主催+公募プログラムの約50ステージの公演会場となる。徒歩や自転車などで回れる人間的な規模。これが横浜開催の魅力のひとつだ。芸術・文化拠点が多いことは、横浜が10年来進めてきた創造都市プロジェクトの成果のひとつでもある。
横浜はパフォーミング・アーツ、特に街をあげてのダンスや音楽の大規模なイベントが多い。TPAMをはじめ、毎年恒例のジャズの祭典「横濱JAZZ PROMENADE」、次世代振付家の育成を目的とする「横浜ダンスコレクション」はすでに20年以上の歴史を持つ。
また、横浜市ならではの文化プログラムとして、美術の祭典「ヨコハマトリエンナーレ」、ダンスの祭典「Dance Dance Dance @YOKOHAMA」、音楽の祭典「横浜音祭り」を1年毎に開催している。いずれもが“横浜らしい”と言われる定番イベントとして、国内外から高い評価を得ている。
世界初演、日本初演をぜひ観たい!
TPAMは、一般観客が鑑賞できる主催公演のチケットを1月16日(土)から発売開始。国を越えて一緒に作品を作り上げる『TPAMコプロダクション』、キャリアのある作家が歴史や社会に対してダイナミックに挑戦している作品を紹介する『TPAMコンテンポラリー・クラシックス』、TPAMが選任した旬なディレクターたちが選んだアジアの作品を紹介する『TPAMディレクション』の3部門で13舞台芸術作品が楽しめる。その中で世界初演、日本初演は8作品。若くて新しい力の息吹を目の当たりにできる。
その中でも特に注目されているのが、『TPAMコプロダクション』作品であり、今年度のオープニング・プログラムとなるタイのピチェ・クランチェンダンスカンパニーの『Dancing with Death』。若者が仮面と仮装で精霊に扮してパレードするタイの奇祭、ピーターコーン祭りからインスピレーションを経て「死後の生」を表現した作品だ。
この他にもガムランをフィーチャーし、エッジのきいたリズムで刻む新アルバムを披露するシンガポールのバンド、ジ・オブザバトリー、70年代の労働者弾圧事件を基に作られた歌劇を、現代に置き換えて新たな問題提起に結び付けた韓国の音楽劇、ムーブメント・ダンダンの『2016工場のともしび-劇場デモ』も楽しみな作品だ。
またそれらに加えて、同時期に公募によって集められた約30ステージを『TPAMショーケース』として位置付けている。多彩な内容、規模を誇り、こちらも見ごたえのあるステージが並んでいる。
「2月は横浜で舞台芸術を観る」
これが横浜の定番となれば、パフォーミング・アーツの将来はもっと面白くなる。
国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2016 開催概要
【会期】2016年2月6日(土)~14日(日)
【会場】KAAT 神奈川芸術劇場、横浜赤レンガ倉庫1号館、
BankART Studio NYK、YCC ヨコハマ創造都市センター、
神奈川県民ホール 小ホール、AMAZON CLUB ほか
TPAMウェブサイト→ http://www.tpam.or.jp/