横浜×写真を【撮る】!

Posted : 2014.03.19
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横浜×写真を【撮る】!

横浜を拠点に活躍するフォトグラファーの方々に、「素敵な横浜の撮り方」をうかがいました。横浜の街を撮影した作品の解説もしていただいたので、ぜひ、横浜を撮影するときの参考にしてみてください!

森日出夫さんに聞く、素敵な横浜の撮り方

森日出夫さん

PROFILE
横浜市生まれ。JPS(日本写真家協会)所属。 長年撮り続けた横浜の港・街・人を「森の観測」と名づけ、それらの作品を写真集や個展に多数発表している。 独自の感性で森の「記憶」を記録する。1995年刊行「YOKOHAMA PASS ハマのメリーさん」、2011年刊行「SCENERY of Yokohama」(DVD付)など横浜を題材にした作品を発表し続けている。

街を撮るのは面白い。日本から海外、いろんな街でスナップしますが、どこの街でも、どこか懐かしいような、共通するものが見つけられるんです。僕が思う「横浜らしさ」は、昔からあらゆる文化を受け入れる懐が大きかったこと。古いものと新しいものが表情豊かに混在する。だから僕が撮った横浜の写真には「新旧」が入っていることが多いんです。
街のスナップを撮るときは、28mmくらいのワイド系で、そのときに感じたものを瞬時に撮れるようにしています。連写しつつ、あの船がこう動いているからもうじきこの位置に来るなとか、自分の目で周りの状況を感じながら、シャッターチャンスを逃さないように。テクニックなんて時間があれば覚えられちゃうから、あとは感性。それには普段から、いい映画やいい音楽、いろんないいものを感性にとり入れることです。

●作品解説

写真左
夕方にみなとみらいを撮影していたとき、急に天気が悪くなって、ザーッと雨が降ってきた、その瞬間を撮ったのがこの写真。この後は豪雨で視界が真っ白になってしまったから、ほんの一瞬のシャッターチャンスでした。昔から雨の風景は好きなんです。注意しなきゃいけないのは、雨の風景はペタッとした白っぽい写真になってしまうから、2段階くらい絞って、コントラストを強めてあげること。手前の電燈、奥の赤灯台の灯りの配置にリズム感が出るよう、光のバランスには気を遣いました。

写真右
今ちょうど開催している、横浜市主催の撮影イベント「~森日出夫と船で行く豪華客船撮影ツアー~横浜港きらめき撮影会」で「飛鳥Ⅱ」を撮影した写真です。写真って心模様を表わすものだから、機械の操作なんて覚えちゃえばなんてことないし、絵葉書みたいにきれいに撮っても観る人の心を打つ写真にはならない。撮る人が何を撮りたいか、何を伝えたいかが重要なんです。30分くらい教えたら、皆さんどんどん撮れるようになってますよ。この写真は「波の跳ねる瞬間」を狙いました。飛鳥Ⅱ、みなとみらいに沈む夕日、空に浮かんだ丸い雲もここしかない、という位置でシャッターを切っています。


鈴木知子さんに聞く、素敵な横浜の撮り方

鈴木知子さん

PROFILE
横浜市出身。東京工芸大学短期大学部卒業後、広告写真プロダクションに入社。写真家 柳瀬桐人氏ほかのアシスタント経験後、アパレル、コスメなどのコマーシャルフォト中心に活動。カメラメーカーや雑誌への作品提供や、写真撮影指南本の執筆、フォトコンテストの講評なども行なっている。 ライフワークの横浜を中心としたスナップ写真を、ブログにて毎日更新中。
Photo blog「すずちゃんのカメラ!かめら!camera!

横浜で生まれ育っていますので、横浜の風景は自分には当たり前すぎて、あまり意識もしていなかったのですが、年をとるごとに横浜に魅力を感じるようになってきました。よくも悪くも移り変わりがとても早いので、生まれ育った街を記録しておきたいという思いもあり、ライフワークとして横浜の街を撮影しています。カメラ好きな方にとっても「撮りやすい街」ではないでしょうか?山手西洋館や横浜港大さん橋国際客船ターミナルなど、無料で入れる魅力的なスポットもたくさんありますし、新と旧、自然と都会といった対比が楽しめる風景も歩いてまわれる範囲にぎゅっと詰まっています。空が広いのもいいですね。背景に空を持ってくることで、乱雑なものが入り込まず、伝えやすい写真になります。歩きながら、たくさんの被写体に出会えるのが横浜の魅力ですね。

●作品解説

写真左「Water Pocket」
山下公園の水たまりに氷川丸を写し込んだ一枚です。目線の高さや水たまりの位置を見ながら、氷川丸がちょうどよくおさまる場所を探して撮影しました。水に写ったものをさらに写真として写しとっているので、不思議な距離感のある写真になっています。絞りを開けて、アスファルトをぼかし、ふわっと幻想的に仕上げました。水たまりに写る何か、という題材はいろいろバリエーションが作れて面白いですよ。歩いている人物、鳩、雨上りの青空と雲…。普段はあまり見ていないかもしれない足元にも、面白い題材はあるんですよね。

写真右「comrade」
神奈川県庁は「キング」、横浜税関は「クイーン」、横浜市開港記念会館は「ジャック」とそれぞれ愛称のついた横浜三塔は個人的にも大好きな題材です。ジャックの中にある特徴的なバラ窓越しにキングを撮影しました。新旧が混在した横浜の街にあって、近代的な建物の中に囲まれた歴史的建造物である三塔。その中で、同じ時代を見てきたであろうジャックがキングを見つめる、というイメージを込めています。周りのビルが入らないよう、そして窓枠とキングがすっきり見える構図にはこだわりました。


齋藤久夫さんに聞く、素敵な横浜の撮り方

齋藤久夫さん

PROFILE
フォトディレクター。特定非営利活動法人ザ・ダークルーム・インターナショナル理事。有限会社ケイフォトサービス代表取締役社長。社団法人日本写真協会国際交流委員、映像教育推進委員。写真展のプロデュースをはじめ、テレビ番組の制作協力や小・中・高等学校での出張ワークショップの運営なども数多く行っている。毎年開催している「ヨコハマフォトフェスティバル」は11月頃開催予定。

横浜って、生まれてからずっとこの街で生きてる人が多いんですよ。だから、本当にその人自身を写真に写しとれると、横浜の歴史が写ってるんじゃないかなと思います。人物を通して横浜を描くっていうのも、面白い表現なんじゃないかな。今回、作例で挙げた作品は、子供の頃に撮った写真と同じ場所を探して撮影しているんですが、写真に写ってるものを手がかりに撮影された場所を探すのが楽しかったですね。野毛にある中央図書館には昔の横浜を撮影した写真集がたくさんあるので、同じ場所を見つけて撮影しに行くのも楽しいと思いますよ。変化したもの、しないものを捉えることで、また違った横浜が見えてくると思います。

●作品解説

横浜の若手企業家で構成するNPO法人「濱橋会」のメンバーの今昔を撮影したシリーズです。一番左はメンバー自身が持っている子供の頃の写真、真ん中が同じ場所で撮った現在の写真、そして左が働く姿を捉えたポートレート。これで1組の作品となっています。実際に街を作っている、今の横浜を背負っている人たちのパワーや思いを伝えたいという気持ちで撮りました。3枚目のポートレートは人物にぐっと寄って、背景も入れずに、つまり状況説明なしの構図で撮影しています。企業の代表としてのその人自身が見えてくるんじゃないかと。自分のポートレートの撮り方は、まず最初にぐっと寄ってしまうこと。寄ってから離れた方が撮られる側も安心するので、僕はそうしてますね。


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