「多様性」と「他者性」をテーマにした「黄金町バザール2017」第二弾が開幕! 10組以上が新作の展示をスタート!

Posted : 2017.09.27
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今年で10回目を迎えた「黄金町バザール2017− Double Façade 他者と出会うための複数の方法」の第二期がスタートした。京浜急行日ノ出町駅と黄金町駅をつなぐエリアに8カ国25組のアーティストが参加する本展は、「多様性」と「他者性」をテーマにしている。第二期では新たに展示が加わった3組のほか、10組以上のアーティストが新作を発表。ゲストキュレーターの窪田研二氏のコメントも交え、第二期の見どころを紹介する。

Candy Bird《歯車味のチャーハン》2017 Photo by Yasuyuki Kasagi

 

黄金町にアートが来て10年

ヨコハマトリエンナーレ」が開催されている横浜・みなとみらい地区からバスで15分ほど、京浜急行日ノ出町駅と黄金町駅間の、約1キロ弱のエリアが「黄金町バザール」の会場だ。京浜急行本線が大岡川に並行して走るこのエリアは、港に面してそびえる高層ビルや観覧車、というみなとみらいの風景とは打って変わって、間口が狭く低層の建物が線路沿いに立ち並ぶ。
この場所にはかつて250軒以上もの違法風俗店があったが、2005年の一斉摘発により立ち退いた。その後2008年に開催した「黄金町バザール」を発端に空き店舗をアーティストの制作や展示場所として改修・転用し、現在は年間で約50組のアーティストが活動している。

まちの風景 Photo by Yasuyuki Kasagi

 

 

このまちから世界の未来を想像する

10回目の開催となる今年の「黄金町バザール」は、各地でさまざまな展覧会を企画するインディペンデントキュレーターの窪田研二氏をゲストキュレーターに迎え、8カ国25組の作家を選んだ。タイトルは「Double Façade 他者と会うための複数の方法」。キュレーションするにあたり「『多様性』『他者性』といったテーマを、来場する方々とどのように共有できるかを目指しました」と窪田氏はいう。

ゲストキュレーターの窪田研二氏。Photo by Hajime Kato

 

戦後、黄金町とその周辺の地域は、米軍の接収、違法風俗店を経営する反社会的勢力による地元住民の排除、その後は、行政・警察による違法風俗店の排除という歴史がある。つまり、地域社会は緩やかに変化するのではなく、常に何かしらの意図的、意識的な介入によって変化してきた。

世界で保護主義や排他主義が台頭する昨今。こうした状況へ目を向けながら窪田氏は本展への思いをこう語った。
「黄金町はかつて違法風俗店と共存していたまちでしたが、今から12年ほど前にそれらを排除する選択をしました。ある意味で現在の世界の状況を先取りしていたかもしれません。現在、世界が抱える問題と共通点のあるこのエリアで『黄金町バザール』を開催することは、未来に向けてどのようなことを提示できるのか、というチャレンジでもあります。
選定したアーティストの作品には移民、セクシャルマイノリティ、多様性など、いま社会で問題になっている事象を扱うものが多くあります。こうした作品を通じ、『黄金町バザール』に来た人がこのまちの未来の可能性、さらには世界に対するオルタナティブな未来を想像してもらうきっかけになれば、と思っています」
第二期のオープン初日には、「不満の合唱団in 黄金町」が、参加者と一緒に日常の不平不満を歌い上げるパフォーマンスや、タイのアーティスト、サン・ピッタヤー・ペーフアンによる参加者と一緒に「ヴォーグ・ダンス」を踊るイベントも開催された。

The CAVEを会場に開催されたイベントでヴォーグ・ダンスを披露するサン・ピッタヤー・ペーフアン Photo by Hajime Kato

 

 

アーティストの提示する「他者性」「多様性」とは

第二期では西井夕紀子/不満の合唱団in 黄金町、松蔭浩之/バザールコレクターズ・オークション、スザンヌ・ムーニーの3組が新たに加わったほか、滞在制作により展示替えや新作を加えた作家が10組ほどいる。

西井夕紀子/不満の合唱団in 黄金町 Photo by Hajime Kato

 

カラフルなファサードが目を引く展示スペースはフィリピンの作家、ジェイビー・デル・ロザリオ。第二期では、自身が親しんだという、1970年代に日本で制作されたロボットもののテレビアニメをモチーフに、映像とパフォーマンスを披露している。

ジェイビー・デル・ロザリオ《ReVoltezz-Ⅴ in Jappon》2017 Photo by Hajime Kato

 

韓国を拠点とするイ・セヒョンも第二期では日本で制作した新作を発表。「境界」をテーマに横浜をはじめ、軍艦島、靖国神社など象徴的な場所を背景に、そこにあった“石を投げる”行為を繰り返し、その様子を撮影した。

イ・セヒョン展示風景

 

身体の動きをテーマにしたチョウ・チーファは第一期ではインドのホテルで働く従業員に振り付けをした映像を展示していたが、第二期では黄金町に滞在しながら地元の小学生の動きに着想を得た映像作品とドローイングを発表している。

チョウ・チーファ《消える断片》2017

 

そのほか、「火」「水」「空気」「土」をテーマに黄金町の住民にインタビューし新たなインスタレーションを展開するチョン・ボギョン、「お金のかからないオークション」を行った様子をドキュメント映像におさめた松蔭浩之/バザールコレクターズ・オークションなど第二期でさらなる展開を行ったアーティストが多数いる。ドイツ・フランクフルトで実施した高山明/PortBのプロジェクトによるアートクルーズも増便。またChim↑Pom毒山凡太朗キュンチョメ、地下アイドルから出発した劇団・革命アイドル暴走ちゃんなど話題のアーティストも参加する「黄金町バザール2017」。「ヨコハマトリエンナーレ2017」の会場と本会場を結ぶ無料バスも運行している。ぜひ両方合わせて訪れたい。

 

[文:佐藤恵美]

 

【イベント情報】

黄金町バザール2017

− Double Façade 他者と出会うための複数の方法

会期:[vol.2]2017年9月15日 (金) 〜 11月5日 (日)
開催時間:11:00~18:30 ※10/27-29, 11/2-4 は20:30まで開場
休場日:上記会期中の第2・4木曜日
会場:京急線「日ノ出町駅」から「黄金町駅」間の高架下スタジオ、周辺のスタジオ、既存の店舗、屋外空地、他
アクセス:日ノ出町駅または黄金町駅(京急線 )より徒歩約3分
参加アーティスト:Atsuko Nakamura+陳亭君(チェン・ティンチュン)、毒山凡太朗、Candy Bird、チェン・ティンロン、Chim↑Pom、チョウ・チーファ、チョン・ボギョン、キュンチョメ、地主麻衣子、宇佐美雅浩、ジェイビー・デル・ロザリオ、菅実花、人見紗操、イ・セヒョン、有川滋男、スザンヌ・ムーニー、マツダホーム、プ・ユン、松蔭浩之、西井夕紀子、サン・ピッタヤー・ペーフアン、高山明/Port B、テレルヴォ・カルレイネン+オリヴァー・コフタ=カルレイネン
チケット:会期中有効のフリーパス=700 円(当日券のみ)※中学生以下無料/
ヨコハマトリエンナーレ 2017 連携セット券=一般 2,400 円、大学・専門 1,800 円、高校生1,400 円(同時期に開催する「ヨコハマトリエンナーレ 2017」と「BankART Life Ⅴ」にも入場できるお得なセット券)
主催認定NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター、初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会

◎詳細はウェブサイトから
http://www.koganecho.net/koganecho-bazaar-2017/