写真左:長谷井 孝紀(はせい たかのり)さん 写真右:小田 泰広(おだ やすひろ)さん
山下公園のそば、水町通りの商業ビル「インペリアルビル」は、1930年に外国人向けのアパートメントホテル(長期滞在型の宿泊施設)として建てられた横浜市の歴史的建造物(設計は横浜を代表する建築家、川崎鉄三氏)。
築80年を超える建物内には現在、約20部屋ほどのオフィスが入っている。
そのほとんどは事務所として利用されている中、今回はクラシカルな雰囲気の一室でフルオーダーによるスーツやシャツの仕立てを行う「テーラーグランド」の仕事場をご紹介。
![]() |
![]() |
エントランスに入ると、昭和初期にタイムスリップしたようなモダンな雰囲気。
― クラシックなスーツスタイル ―
テーラーグランドは、オーナーである長谷井孝紀さんが東京で仕立ての修行をした後、
2010年4月より横浜で開業。インペリアルビルも自らの足で探した物件だという。
「不動産屋さんからの紹介では納得できず、自転車に乗って様々な物件を見に行きました。古いビルは自分の作る洋服のスタイルとも合うし、横浜らしい海に近いロケーションやトラディショナルな雰囲気も気に入ってます」
家具を入れたぐらいで、ほとんど内装は変えていないとの事。
大きな窓からは向かいのビルから反射した柔らかな光が入り、作業に適した環境だ。
このスペースでお客さんの好みや着る用途を考えたスタイルの相談に乗っている。
「生地やスタイルが決定したら、お客様ひとりひとりの体を細かく採寸させていただき、型紙を作ります。スーツはオーダーをいただいてから完成まで、約一ヶ月半から二ヶ月かかります」
「テーラーグランドでは、クラシックなスーツスタイルをベースに、長く着られ、流行に左右されない普遍的な美を追求しています。フルオーダーと言っても、余分なことはしない控えめなスタイルがおすすめです」
![]() |
![]() |
(写真 左)お客さんの型紙は、病院でいうカルテの様なもの。以前に作ったものも大事に保管されている。
(写真 右)仮縫いの段階のスーツ。フィッティングしたお客さんは、ワクワクしながら完成を待つ。
片隅には、映画「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドやアル・パチーノといった俳優の写真が飾られている。
劇中に出てくるスーツの着こなしやカルチャーに、とても詳しい長谷井さん。
お気に入りの仕事道具
-そのワケとは?-
【インチメジャー】
センチやメートルも使いますし、時には“尺”で測ることもありますが、
欧米の仕立てはインチを使うことから、手放せない道具です。
プロフィール
テーラーグランド
神奈川県横浜市中区山下町25
インペリアルビル301
Open 12:00~Close 19:00
定休日 日曜日
http://tailorgrand.com/index.html