商店街に新たな人を呼び込む接点に シェアスペース「藤棚デパートメント」

Posted : 2019.03.29
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京浜急行「戸部」駅と相鉄線「西横浜」駅からそれぞれ約徒歩10分、西区役所のほど近くに位置する 藤棚商店街。古くは三菱重工横浜造船所(三菱ドック)で働く人などでにぎわい、今ではシャッターの閉まった店も増えてきているものの、近隣住民には欠かせない買い物スポットだ。そんな藤棚商店街の一角に昨年春、シェアスペース「藤棚デパートメント」がオープン。新たな人の流れを生み出している。

10月に開催した「藤棚一箱古本市」

 

設計事務所×チャレンジショップ

藤棚デパートメントは、シェアキッチン、ホール兼ワークショップスペース、建築設計事務所「YONG architecture studio」の3つのスペースからなる。代表の永田賢一郎さんは、商店街の裏に2016年にできたシェアアパート「藤棚のアパートメント」の設計を担当。自ら管理人として住みながら、共有スペースでのワークショップやショートステイの運営を行ってきた。イベントに出店したことから商店街と関わるようになり、事務所にしていた黄金町のシェアスタジオの契約終了をきっかけに、職場も商店街に移転することを決めた。

シェアキッチンとホールは、将来的に実店舗を構えたいと考えている人に商店街の雰囲気を知ってもらったり、飲食店営業の経験を積んでもらったりするための“チャレンジショップ”として機能する。
このようなスペースを設けたのは、「自分の住む町に素敵なお店が来てほしい」との率直な思いから。口コミやSNSを通じて徐々に出店者が集まり、現在はパン屋やスイーツ店、手話カフェなどが月1回や2回のペースで代わる代わる営業する。既に別の場所に店を持ち藤棚への移転を考えている人や、飲食店に勤めながら独立を目指している人、普段は料理教室の講師を務めている人など、店主はさまざまだ。

月1回グルテンフリーカフェ「Cafe Kana’s Place」をオープンする早津哉恵さん

 

加えて飲食店営業のない日は、金継ぎ・こぎん刺しといった教室利用や、映画上映会や古本市などのイベントを開催。生活の場である商店街に、気軽に参加できる文化拠点を増やしたいという狙いもある。

12月に地域のハンドメイド作家を募集して開催した「藤棚クリスマスマーケット」

 

日常の中で、日々変化する場所

藤棚商店街の魅力は、「歴史ある商店街でありながら、新しい人や挑戦を喜んで受け入れてくれる環境がある」こと、そして「縁日や『藤棚こども笑店街』、『横浜・藤棚シネマ商店街』など年間を通して多くの催し物があり、参加者としても当事者としても関われる機会が多い」こと(永田さん)。チャレンジショップがあることで、出店者はそれをふまえた上でさらに地域との相性や適性を一定期間試すことができる。八百屋や酒屋、スーパーなどが並び、食材の調達も容易だ。

レンタルのない日は不定期で「デパートメントカフェ」を営業。商店街に同じく昨年オープンしたコーヒー豆専門店「405 COFFEE ROASTERS」直伝のハンドドリップコーヒーを永田さんが自ら淹れる。商店街の会合などに使うこともしばしば

 

約一年間営業を続け、永田さんは「当初は完全日替わりで7組固定の営業を目指していたのですが、月1回や隔週、一度だけという方もいる中で、どうしてもメニューや店が固定的でないので認知されにくいというのがありました。逆に商店街という安定した、良い意味であまり変わらない環境の中で日々変わっていく場所があることを楽しみにしているという地域の方々からの声は嬉しかったですね」と話す。

今後はアーティストの展示や音楽にまつわるイベントを増やす予定だ。「普段商店街の中ではあまり出会わないけど、実はたくさんいる横浜で活動する方たちを商店街の中に呼び、そういった人たちの持つコミュニティと地域との接点をつくることで、より創造的なこれからの商店街の姿を作っていきたいと思っています」。

 毎月第3月曜に営業する天然酵母パン「Pane di Tutti(パーネ ディ トゥッティ)」は、藤棚デパートメント斜め向かいの「今井かまぼこ」とコラボした商品も

 

藤棚デパートメント
住所:横浜市西区中央2-13-2 伊勢新ビル1F
アクセス:京急線「戸部」駅徒歩10分、相鉄線「西横浜」駅徒歩10分、横浜市営バス「藤棚」徒歩2分
※営業スケジュールはHP参照

(文・齊藤真菜)