キックオフ対談

Posted : 2014.08.14
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※本記事は2014年8月14日時点のものです。

キックオフ対談

プロデューサー、ディレクター、参加アーティスト。それぞれの立場から「Find ASIA」に関わるお三方に「Find ASIA」の成り立ちと楽しみ方についてお聞きしました。

キックオフ対談

美術館では体験できない、“創造都市センター”ならではのアートの世界を

—まずは「Find ASIA」の成り立ちから教えてください。

松井 今年は文化庁が推進している「東アジア文化都市」事業のスタートの年でして、日中韓3か国から1つずつ都市が選ばれました。中国は泉州市、韓国は光州市です。そして日本では、創造都市を推進しているということが評価されて横浜市が選定されたんですね。その創造都市横浜の核となる企画が「ヨコハマトリエンナーレ」ですが、(公財) 横浜市芸術文化振興財団をはじめ創造界隈の5拠点(→関連サイト)は、「東アジア文化都市事業」の一環であり、また「ヨコハマトリエンナーレ」を街に拡げる役割を担っています。YCCでは、そのイベントとして「Find ASIA」を立ち上げました。

YCCは、「アーティスト・イン・レジデンス」事業を行っています。一昨年度から中国の成都にある非営利のアートセンターと本格的に交流をはじめています。この「アーティスト・イン・レジデンス」を核にして、東アジアの交流事業に取り組むことにしまして、その「アーティスト・イン・レジデンス」のコーディネートをしてくださっている金島さんに、一緒にやりませんかと声をおかけして、ディレクターとして参加していただくことになりました。

太刀川さんには、今年2月にパシフィコ横浜で行われた文化庁主催の「東アジア文化都市事業」オープニングイベントの会場構成をお願いしました。横浜に拠点を置くクリエーターであり、非常に柔軟、革新的、独創的なお仕事をなさっていて、お願いしたところ面白そうだからやってみます、と言ってくださって、予算的にも時間的にも厳しい条件の中、非常にいいものを創ってくださったんです。で、金島さんと一緒に「Find ASIA」の企画を考えていく中で、YCCは“創造都市センター”なので、創造都市横浜の入り口でもあり、人が交流できる場にしたいね、というところから、「ヨコハマトリエンナーレ」やその他拠点を周る方々が寛げるラウンジを3階に創ろうと考えたんです。その設計をぜひ太刀川さんにとお願いしたら、「僕、アーティストとして参加したいな」と。発注されたお仕事としてだけじゃなく、もう少し踏み込んでこの「Find ASIA」を一緒に創りたいとおっしゃってくださって、それでこういう組み合わせになったというのが成り立ちです。

金島隆弘さん(「Find ASIA」ディレクター)

金島隆弘さん
(「Find ASIA」プログラム・ディレクター)

金島 私は中国をはじめとしたアジアでのアートプロジェクトを多く担当してきましたし、横浜出身でもありますので、みんなと協力しながらプログラムをする機会になればいいなと。ファインアートの文脈に乗った現代美術を観る場である「ヨコハマトリエンナーレ」ではできないことをやろう、YCCという美術館ではない場所だということが逆に生きるような企画にしよう、という考え方を起点としました。日中韓のアーティストをバランスよく配しながら、ただの展示だけでなく、ここで新しいものを創り上げたり実験したりとか、参加するアーティストと話し合いながら、プログラムを練り上げてきました。普段の生活とファインアートの間を行き来するような実験的なことが、皆さんの協力でできるということに、今すごくワクワクしています。

太刀川 「東アジア文化都市事業」のオープニングイベントを手掛けるちょっと前に、YCCでタイ人と台湾人とシンガポール人の優秀なクリエイティブディレクターやキュレーターたちとトークをしたんです。政治的な関係はどうであれ、僕自身にもアジアのいろんな国に友達がいるし、彼らと仲良くして何が悪いのかという思いを持つ中でそんなトークイベントがあり、僕らはひとつのアジアですよ、っていうことをアートのイベントで表現していくのはすごく面白いことだなと思ったんです。そんな中でオープニングイベント、そしてこの「Find ASIA」のお話をいただいて。“ひとつのアジア”というテーマでグラフィックデザインと空間デザインをやってみたいと思ったんです。

太刀川英輔さん(NOSIGNER)

太刀川英輔さん
(NOSIGNER)

実際に手がけた作品をご説明すると、この地図のメインビジュアルは、国連が出している都市別の人口データをコンピュータに入れて、プログラミングではじきだしたのがこれ。人口が多い都市ほど文字が大きくなっています。アジアってこれだけの人が渦巻いてますよ、っていうことを可視化した図なんです。

Find ASIA

ラウンジの空間デザインの方は、何万個ものLEDを使って、アジアの夜景を再現しようとしています。どちらもテーマは同じで、アジアっていう少し大きな視点を手に入れる、国ごとじゃなくアジアとしての1つの塊がどう見えるか。ここで交流が起こって、パーソナルな友達になる、そんなことが起こるといいなと思っています。

松井 金島さんがおっしゃったみたいに、ここは美術館ではなく創造都市センターだということが大きいです。気軽にお茶を飲みに来てほしいですね。カフェ自体もアーティストの作品ですから、お茶を飲むという行為がもうすでにアートの世界なんです。アーティストが作品を創っている過程を観られるかもしれないし、3階のラウンジにはアジアの夜景が広がっている。気負わず楽しんでいただきたいですね。

松井美鈴さん(ヨコハマ創造都市センター・センター長)

松井美鈴さん
(ヨコハマ創造都市センター・センター長)

今回は期間中にたくさんのイベントを計画してます。演劇、音楽、トーク、いろんなイベントを展開する予定です。情報センターとして、「ヨコハマトリエンナーレ」やその他拠点の情報も提供できますので、気軽に聞いていただければなと思います。

 決まった枠を飛び出して
何かが起こる期待感のある場所に

—準備期間が終わり、これからイベントが始まるわけですが、ご自身以外のお二人に期待することは?

松井 金島さんと太刀川さんのアジアに広がる人脈で、ここが交流の拠点になれればいいですね。YCCにいらしたことのないファインアートの世界の方がお二人に会いにきて、また違う何かが生まれたり。決まった枠を飛び出して、何かが起こる期待感のある場に…私からの期待はそこですね。

金島 私はぜひYCCのスタッフ全員と創り上げる企画にしていきたいと思っています。たとえば松井さんが育てたトマトを持ってきて、それをカフェのメニューに加えるとか。組織の一員というより、一個人としても関わってもらって、一緒に創造的な空気感を創っていきたいですね。

松井 トマトは本当に家庭菜園で作ってまして、一度持ってきたこともあるんですよ。毎日何十個も獲れるんで…あとで相談しましょう(笑)。

太刀川 僕らはすごく近くに事務所があるので、スタッフとここ(カフェ)に来て仕事してるとかね(笑)。

金島 私も期間中はなるべくここで仕事をしようと思っています。太刀川さんともシンポジウムみたいなことができるといいなと思ってるんですけど。

太刀川 いいですね、やりましょう!

金島 日中韓ということで言うと、それぞれの国らしい部分があったり、あまり差がなかったりといろいろですが、国別というよりも、そのアーティストとその表現そのものを見て楽しんでいただくのがいいかなと思います。

このYCCは、アート、デザインというジャンルを超えての拠点でもあるし、エリアとしての創造界隈の拠点でもある。そういう様々な要素がひとつのプログラムにできたのはすごくよかったですね。これはYCCだからできることではないでしょうか。

松井 夏休みにどこかへお出かけしようと思ったときに、歴史的建造物であるYCCで、ユニークなイベントが行われてますので、臆さず気軽に入っていただいて、「へー」って思っていただければうれしいです。もちろんここだけで完結してもいいですし、ご要望とあらば創造都市横浜のご紹介をさせていただきます。みなとみらいや中華街にも近いですし、創造都市を標榜しているこの横浜に降り立ったら、まず立ち寄っていただける場になれたらいいなと思っています。


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