大切なのは見る人の心を動かすこと。‐ DAZZLE主宰者・ダンサー・演出家 長谷川達也 ‐

Posted : 2015.07.04
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「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015」は街中が舞台と化す3年に一度のダンスイベント。8月1日から11月までこの街でしか体験できない特別なプログラムが目白押しだ。

©mirea

 

横浜にダンスの夏がまたやってくる。

今回の「ひと」は、8月22日、24日の横浜ベイサイドステージに出演のDAZZLEの主宰者である長谷川達也さん。DAZZLEはとにかく舞台が面白い。ダンス? アート? エンターテイメント? 彼らのパフォーマンスはジャンルにとらわれた境界線を軽く飛び越える。長谷川さんは踊り手としてだけでなく、ストーリーを紡ぎ出し、楽曲からファッションにまでこだわって制作、演出を手がける。自身にも境界線がない。その創作のインスピレーションの花園をのぞいてみたくなった。

ジャンルには頓着しない
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©mirea

「自分がやりたいことはダンスだと気づかされたのが、中学校時代にテレビで見た『ダンス甲子園』」と長谷川さんは開口一番、語った。そう、高校生がチームを組んでダンスを競う番組だ。
「心が熱くなりました。出ている人たちを見て、うらやましいというより悔しいと思うくらいでした」
心ははやりながらも、実際にはダンスを習う環境にはなかった。一緒にやる仲間もいなかった。結局、長谷川さんが踊りたい思いを本格的に果たしたのは、後年大学に入ってサークルに所属してからだ。
「これしかない、ととにかく打ち込みました。始めた時からストリートダンスの日本最大のコンテスト『ダンス・ディライト』で優勝するという目標を定めました。でも星の数ほどあるダンスチームの中から抜きん出るにはどうすればいいのか。考えに考えて行き着いた答えが“独自性”を持つことでした」
当時のストリートダンスの流行は「活発、ちょっとワルそうに踊る」こと。そこに敢えて背を向けて、誰も選びそうにない楽曲や設定、ファッション、空間、照明とそれぞれの要素にこだわってダンスを構成した。
「ストリートダンス、ヒップホップが好きで入ったサークルですが、そこではジャズダンスも踊らなければならなかった。でも違う分野を踊ってみることでダンス全体のことがよくわかりました。ダンスの表現の豊かさにも触れることができました」
何気なく振り付けたら「コンテンポラリーダンスだね」と評されたことがある。反対に肉体表現だけに撤しない物語性のある舞台に「それはヒップホップではない」と言われたことも。
「なんでもいいです。なんでも好きです。ジャンルには頓着しません」と屈託なく笑う。「ジャンルを突き詰めることは文化を深めるという意味でとても重要ですが、それは僕の役割じゃない」とあっさり言い放った。
「ダンスの核に触れるような突き抜けた芸術性さえ理解してもらえればいいと思います。難解そうに思えますが僕がわかりやすく伝えます。いちばん大事なのは見る人の心を動かすこと。そのためなら何でもやりたいし、考えられることは全て考えたい。いろいろな要素や表現があっていいのです。僕はダンスだけを見てダンスを作っているわけではありません」

DAZZLEという意味

ダンス以外にも好きなものがいろいろある。
「アニメやゲーム、そして映画も大好きです。シリアス、コメディ、ラブコメ、ホラー、SF、アクション、なんでも観ます。それらの作品には最初に言葉というか、物語がありきで、僕はそれをダンスでどう表現するかを考えています。作品の作り方は映画の手法に似ています」
物語から動きに、形に、音に、光に、色に発想を広げていく。
「いろいろなことを思い浮かべている時が最高に楽しいですね。実際にそれを頭から取り出そうと思うと、意外と曖昧なものなのだったりするのです。それを形にして具現化して、細かく辻褄を合わせるところがいちばん苦しい作業です」
作曲家に音楽を書いてもらう時も、なるべく自分のイメージしているものの情報を揃えて、あるときは使ってもいいと思う音の例まで出して、はっきり、くっきりさせてから投げかける。
「ノリで頼むと自分の欲しいものは出来上がりません」
表現への徹底的なこだわりは作品に顕著に現れる。DAZZLEの舞台の魅力のひとつは緻密な構成力にある。いろいろな要素の複雑な組み合わせや伏線と、グループダンスの醍醐味である同調性には特に注目したい。
「見る人をとにかく驚かせて、感動させて、もてなしたい。そう思う気持ちはエンターテナーで、自分たちのやりたいことを追求する心根はアーティストですね」
例によって本人にとってはどちらでもいいようだ。
DAZZLEのスローガンは「すべてのカテゴリーに属し、属さない眩(まぶし)さ」。
DAZZLEの意味は英語でキラメキ、幻惑。
自分たちが唯一無二で輝いていればそれでいい。
言われて嬉しい褒め言葉は「今まで見たことがない」だ。

花と囮

花と囮

SHADOW GAME

SHADOW GAME

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二重ノ裁ク者

二重ノ裁ク者

 
横浜で見せたいこと

8月22日と24日のステージの演目は「dazzling three.」。
「ku-gu-tsu」「サイヒとロイヒ」「TOKYO EMPIRE」の3つの作品を、なんとこのステージのために再構成した。独特の哲学と美意識を持つDAZZLEの魅力をギュッと凝縮したような舞台になるはずだ。
「久しぶりの屋外ステージ。海も近いし開放的で気持ちよく踊れるのではないかと楽しみにしています。ダンスの高揚感、面白さ、可能性みたいなものを発見してほしいです」
横浜にはどんな印象を抱いているのだろうか?
「横浜は芸術に力入れている都市だというイメージがあります。ダンスの祭典というのは日本では珍しいですよね。こんなに集中してダンスを見ることができるなんて素晴らしい。芸術もエンターテイメントも人が生きる活力になるので、そういったものに触れる機会が多い方が人は幸せだと思います」
実際に自分自身がダンスと関わったことで、豊かな人生を歩んでいるという実感がある。
「会いたい人に会えたり、行きたいところに行けたり。毎日が楽しくて充実しています」
そんな幸福感も「ダンスをもっと知ってほしい」という気持ちを後押ししている。
確かにダンスは文化として認められているが、普通の人たちのすぐ傍にあるとはまだまだ言い難いと長谷川さんは考えている。
もちろん舞台に行けば見ることはできる。しかしその舞台になかなか足を運んでもらえない。
最後に長谷川さんは街とアーティストとの理想の関係をこう語った。
「『Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015』が舞台に近づくきっかけになればいいと思います。ダンスを知らなかった人に特に見て欲しい。アーティストというのは、たくさんの人からの共感を得たいと願っています。作品や活動が多くの人の目に触れる機会があるというのが、アーティストにとっての理想の都市ではないでしょうか。そして街のにぎわいを作り出すことに僕たちが協力できることもきっとあるでしょう」

さあ、横浜とダンスの幸福なコラボの季節が始まろうとしている。

(撮影場所:TERRA CAFE BAR )

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©mirea

長谷川達也
DAZZLE主宰、ダンサー・演出家。SMAP・V6・Mr.Children・ケツメイシ・TRF、BoA、東方神起などのライブ出演・振付の他、振付日本一を決めるLegendTokyo、TheatriKA’lコンテストのW優勝。また国内演劇祭での最優秀作品賞、若手演出家優秀賞を始め、海外では韓国:アジア演劇祭、ルーマニア:シビウ国際演劇祭の他、中東最大のファジル国際演劇祭からの招聘、4部門ノミネート、2部門において受賞。近年は2013年、2014年に東京国際フォーラムで開催された舞台「ASTERISK」において総合演出、主演を務めた。本年3月に歌舞伎俳優の坂東玉三郎氏が総合演出を務めたDAZZLE主演舞台「バラーレ」を終えたばかり。
http://www.dazzle-net.jp/


【イベント情報】
Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015
横浜ベイサイドステージ
【日 時】 8月22日(土)、24日(月) 18時30分~20時
     ※両日とも17時30分からオープニングアクトを実施
      雨天中止(公演当日の15時に開催の可否を発表)
【出 演】 EBIKEN、DAZZLE、HIDEBOH、AFRA、ARTE Y SOLERA
      オープニングアクト:ラブジャンクス、SWINGBOX、CLOVER
【会 場】象の鼻パーク特設ステージ
【料 金】2,500円(税込・全席指定)
      ※3歳未満入場不可。3歳以上チケット必要。
【チケット取扱・お問合せ 】 キョードー東京 0570-550-799
【公演のお問い合わせ】横浜アーツフェスティバル実行委員会 045-663-1365
http://dance-yokohama.jp/

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