初めてに出会って新しい景色を見よう
8月1日に開幕した「ヨコハマ・トリエンナーレ2014」。この現代アートの国際展の連携プログラム「まちにひろがるトリエンナーレ」として、今年初めての開催となる「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014」。
初回のテーマは「first contact/はじめてに出会える場所」だ。
会場の象の鼻テラスに足を踏み入れると、明るい熱気に包まれて新鮮な驚きを感じる。ゆったりとしたていねいな時間に身をゆだねているうちに、だんだんと気持ちがほぐれてくる。

Photo:山崎真
天井いっぱいに張り巡らされた蜘蛛の巣のような編み目。アーティストの井上唯さんが、800人を超える人とともに形状保持ヤーン(糸)を編んで連ねた「whitescaper」というインスタレーション作品だ。手を動かして編んだのは、年齢も国籍もまちまち、障がいの有無を超えた大勢の人々だ。

「森永邦彦:ANREALAGE 聴く服」 の展示風景
もともと象の鼻テラスでは、国内外で活躍するクリエーターと企業や福祉施設などをつなぐ 「SLOW LABEL(スローレーベル)」というモノづくりプロジェクトを立ち上げ、活動を紹介してきた。今回の展示作品も、誰もがモノをつくりだすことに参加することの意味や、手から生み出されるモノのぬくもりを感じさせてくれる作品が多い。
また、展示作品以外にもイベントやワークショップも数多く行なわれる。
取材に訪れたこの日は、パフォーマーの金井ケイスケさんが、「パラトリパレード2014」(9月7日開催)のコアメンバーとともに身体をほぐすワークショップを行なっていた。飛び入り参加もOK、誰もが参加できる、誰をも受け入れるという基本姿勢はここでも当たり前のことだった。
イベントのひとつ、「music for the deaf/耳の聞こえない人のための音楽」も興味深い。

「music for the deaf」を説明するディレクターの難波祐子(なんばさちこ)さん
メディアや情報の分野で活躍するアーティストの真鍋大度さん+石橋素さん+照岡正樹さん+堤修一さんが、聴覚障がい者のストリート・ダンスチーム「SOUL FAMILY」との共同作業で、電気刺激装置を使った作品を発表する(8月13日)。
最先端のテクノロジーを駆使するクリエーターたちと聴覚障がい者たちの出会いが、まったく新しいダンス作品を生み出しそうだ。
「“障害者”の超人的能力と、高い技術を持つ多様な分野のプロフェッショナルが出会い、共鳴し、新しい表現を生み出す場なんです」
――「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014」総合ディレクターの栗栖良依(くりすよしえ)さんの言葉に深く納得する。
そして「トリエンナーレ」とは「3年ごと」という意味。今回始まったプロジェクトは3年後の次回開催に向けて、ずっと続けていくそうだ。
気軽にアートやダンスを通した「出会いの場」に出かけてみよう。パレードやダンスワークショップにも参加してみると、新しい景色が広がるにちがいない。
【イベント情報】
「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014」
「ヨコハマ・トリエンナーレ2014」創造界隈拠点連携プログラム
――「まちにひろがるトリエンナーレ」
「東アジア文化都市2014横浜」特別事業
会期:8月1日(金)〜11月3日(月・祝)
※コア期間 8月1日(金)〜9月7日(日)
※展示作品は9月7日までの公開
会場:象の鼻テラス
最寄り駅:みなとみらい線日本大通り駅
入場料:象の鼻テラスへの入場は無料
イベントやワークショップへの参加は料金がかかる場合もある
お問い合わせ:公式ウェブサイト http://www.paratriennale.net
【参加者募集】
●『パラトリパレード2014』参加者募集
実施日:9月7日(日)
午前中から小道具や衣裳の準備を行ない、午後にリハーサルをした後、プロのサーカスアーティストやミュージシャンと一緒にパレードに出発。
8/17締切
http://www.paratriennale.net/program/performance/
●『カトリーヌ・マジによるサーカスワークショップ』参加者募集
実施日;8月23日(土)・24日(日)・25日(月)・26日(火)
ベルギーのサーカス演出家、サーカス創作家のカトリーヌ・マジさんによる障がい者とサーカス・アーティストらを対象とした集中ワークショップ。
8/10締切
http://www.paratriennale.net/post-154/
●『ペドロ・マシャドによるダンスワークショップ』参加者募集
実施日;9月25日(木)・26日(金)・27日(土)・28日(日)
ロンドン・オリンピック・パラリンピック開会式に参加したカンドゥーコ・ダンス・カンパニーの共同芸術ディレクターのペドロ・マシャドさんによるワークショップ
9/10締切
http://www.paratriennale.net/post-161/