文章×写真のコラボレーション。新たなるねこの愛で方
横浜出身の明治の文豪・大佛次郎。「鞍馬天狗」シリーズや『パリ燃ゆ』などの時代小説やノンフィクションが知られていますが、ねこ好きとしても有名です。一緒に住んだねこは500匹を超えると言われていますし、童話『スイッチョねこ』に代表される、ねこに関しての読み物も約60編も残しています。

1936年 黒猫2匹と戯れる
去る2016年11月、会期1週間で約7千人のねこ好きを集めた「横浜赤レンガ倉庫 ねこ写真展2016」では、今回のプレ展示として大佛次郎の文章とねこ写真のコラボレーションを実施しました。国内外から集められたねこ写真と、大佛次郎の「鞍馬天狗」シリーズの中の『角兵衛獅子』の一文をともに展示したところ、さまざまな表情のねこたちに物語性を与え、世界を広げた、と大好評を博しました。
展示の例を挙げますと、たとえば下の写真。
「残されて一人になってから、その不安が、急に胸一杯に広がって来る」
写真だけでもしみじみとした寂しさを訴えかけますが、『角兵衛獅子』の文章が入ることによって、より孤独感が際立ち、感情が動かされます。
下の写真もまた、これだけ見ても微笑ましく、愛らしいです。
これにどんな文章をつけたのかというとーーー。
「知っているだけの神様の名前を思い出して、いちいち一生懸命にお祈りしました」
もともと、「何をやっているんだろう?」と気になる写真ですが、そこに『角兵衛獅子』の文章がこんなにぴったりはまるとは! まるで、この写真のために書かれたようです。
2017年・ねこ写真展のみどころはこちら!
みどころ その1 大佛次郎×ねこ 〜いまじねーしょん〜
今回の「ねこ写真展 2017」では、この「文章とのコラボレーション企画」がパワーアップ!
「横浜赤レンガ倉庫 ねこ写真展2016」で大好評だった『角兵衛獅子』のほか、同じく「鞍馬天狗」シリーズの『鬼面の老女』と『銀煙管』の中から文章をセレクトして、集まった写真たちに合わせて展示をするそうです。

※イメージ
『鬼面の老女』といえば、「鞍馬天狗」シリーズの第1作、『銀煙管』は第2作。舞台は江戸の幕末。主人公は新撰組と火花を散らす勤王の志士・倉田典膳です。
のどかなねこ写真と鞍馬天狗の活劇譚は、どのような相乗効果をあげるのでしょうか。江戸の町と日本の未来を憂いたねこどうしの、たたかいのひぶたがおとされる……かもしれにゃい……?
乞うご期待!!
みどころ その2 大佛次郎の視線の猫たち
1930年代〜1960年代の大佛次郎が自ら撮影した写真や、大佛のねこへの愛情があふれる当時の写真を選りすぐって展示するそうです。

1937年 大佛撮影 ねこたち
銀塩(フィルム)カメラで撮影された、粒子の粗いモノクロームの写真たちは、色が褪せた中に残るねことの関係や紡ぎ出される互いの愛情を、時を超えて伝えてくれるようです。
みどころ その3 一般応募作品の人気投票を開催!
一般応募で寄せられたねこ写真は、なんと600点を超えているとか。どんな姿でも愛らしく気高く可愛いねこが、600匹以上ということです。なんということでしょう。
会期中は人気投票を実施するとか。「選べない………!!」という気持ちになるかもしれません。しかし、ここは気持ちを強く持って、最高の一枚を選び出しましょう。
さらに! 館内のねこを発見!? 謎解き・クイズを実施
記念館では、ねこ好き文豪・大佛次郎が蒐集したねこの置物などのコレクションの展示もあります。クイズや謎解きを通して館内を巡りながら、隠れたねこを探してみましょう!
港の見える丘公園内にある、アーチ型の屋根とレンガ造りの外観のレトロな洋館・大佛次郎記念館。横浜散歩で洋館めぐりをする人にとってはおなじみの建物です。通りすがるたびに「かっこいい……!」と思ってはいても、中までは入りづらい…と思っていた人も多いのではないでしょうか。そんな方には今回の展示はなによりのきっかけになりますね。
わたしたちと同じように横浜とねこを愛した大佛次郎のねこ愛を、改めて感じることができるかもしれません。
(文章:いしだわかこ)
2月22日発行! 「500匹と暮らした文豪 大佛次郎と猫」
記念館で所蔵している300点以上のねこグッズと大佛撮影のねこ写真、さらに文豪・大佛のねこエッセイなど、ねこ好き・文学好きにはたまらない一冊が、この展示に合わせて発行されます。
「生きた猫でなく玩具の猫でも心を和らげてくれる」の言葉に、シンパシーを感じるねこ好きさんも多いはず!
詳細はこちら→https://www.shogakukan.co.jp/books/09388535
■大佛次郎記念館×ねこ写真展2017
「猫は生涯の伴侶」〜大佛次郎は猫を愛した作家でした〜
期間:2017年2月22日(水)~3月20日(月・祝)
会期中の開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日:月曜日(祝休日の場合は開館・翌平日休館)
※3/13(月)〜3/15(水)は、展示替えのため休館
会場:大佛次郎記念館
住所: 〒231-0862 横浜市中区山手町113番地
アクセス:
元町・中華街駅(みなとみらい線)5番・6番出口から徒歩8分
港の見える丘公園バス停(市バス11・20系統)から徒歩2分
料金:大人200円、中学生以下無料
※毎月23日「市民の読書の日」と、第2・第4土曜日は高校生以下無料
※横浜市在住の65歳以上の方は無料(要証明書)
TEL: 045-622-5002
共催:ジャパンクリエイト株式会社