
『RE/PLAY (DANCE Edit.) 』©鈴木竜一朗
横浜初演にふさわしい作品
演出家として『東京デスロック』を主宰、演劇からパフォーマンス・アートの世界に入り、現在はジャンルを超えての表現活動にいそしむ多田淳之介。「横浜ダンスコレクション」では2年前から基軸プログラムとなるコンペティションⅠの審査員も務め、実は横浜との関係も深い。
今回世界初演となる新作『Choreograph』は、多田の面目躍如とでもいうべき全方位からの興味や問題意識が満載で、身体、個性、社会、時間軸などの要素が関連づけられ、ダンスの可能性の地平を探る作品となっている。多田も「ダンスの見方として違う角度からフォーカスできたら」と語る。

急な坂スタジオでの稽古の様子
語り合いながら、試行錯誤を重ねて一緒に舞台を作り上げたというダンサーには「横浜ダンスコレクション」にゆかりのあるメンバーが揃っている。昨年の同フェスティバルのコンペティションⅠで審査員賞を受賞したAokid、同コンペで奨励賞受賞の伊東歌織、同フェスティバルで上演された『無・音・花』、また2017年オープニングプログラムとなった『VESSEL yokohama』に出演した戸沢直子。ブレイクダンス経験の有無や男女の違いなど、この3人が踊ると同じ振付けでも個性が際立つ。舞台での「相互の身体や踊りの距離とバランスがいい」と多田は言う。
音楽は批評の世界でも活躍する横浜在住の大谷能生が担当。音楽の構造的なことなども制作時に話したという。コンテンポラリーの舞台にタップで参加するのは初めてというタップダンサーの群青が、舞台でビートを刻む。「いろいろな関係性が生まれて面白くなると思う」と多田。
「前作でもダンサーたちに振付けを考えてもらったのですが、今作はそれぞれが考えた振付けを交換して、どうやって作り出したのかということ、それを受け入れるということを今一度考えてみたかった。また演出、振付けはルールであると捉えて、世の中のルールなどいろいろなものに規定されながら暮らしていることにも思いを馳せることができたらと思いました」

田村友一郎「BODY/PLAY/POLITICS」展より
そこから社会、現代、横浜の歴史を参照しながら今後の西洋と日本のことを考える…と時空も含め、ますます広がる多田の思考。「振付け」を入り口として、いかに観客を西洋と日本の未来にまで導くのか?
舞台には、横浜美術館「BODY/PLAY/POLITICS」展の出品作家、田村友一郎が横浜のボディビルの歴史に着目した作品も舞台に登場する。
観客や現象などを重視した演出で知られる多田淳之介。『Choreograph』は彼の手腕を確認するエポックメーキングな作品となるに違いない。
![]() 戸沢直子 |
![]() 伊東歌織 |
![]() Aokid |
![]() 群青 |
![]() 大谷能生 |
【プロフィール】
多田淳之介(ただじゅんのすけ)
演出家、東京デスロック主宰、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ芸術監督。 古典、現代劇問わず、現代における観客の当事者性にフォーカスする。地域、 教育機関、海外での活動も多く、2013年『가모메 カルメギ』にて韓国で最も 権威のある東亜演劇賞を外国人演出家として初受賞。ダンサーとの作品として、京都、横浜のダンサーと『RE/PLAY DANCE Edit.』をそれぞれ発表、 今作はシンガポール、カンボジアなど東南アジアでの創作が続いている。2016年より横浜ダンスコレクション・コンペティションⅠの審査員を務める。
(文・田中久美子)
【イベント情報】
横浜ダンスコレクション2017
http://yokohama-dance-collection.jp/
【イベント概要】
多田淳之介演出『Choreograph』(世界初演)
演出:多田淳之介
音楽:大谷能生
出演:Aokid、伊東歌織、群青、戸沢直子、多田淳之介
日時:
2月16日(木)19:30
2月17日(金)19:30
2月18日(土)16:00
2月19日(日)16:00
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
住所:神奈川県横浜市中区新港 1-1
アクセス:
桜木町駅(JR京浜東北・根岸線・市営地下鉄ブルーライン)より徒歩 15 分
関内駅(JR京浜東北・根岸線・市営地下鉄ブルーライン)より徒歩 15 分
馬車道駅または日本大通り駅(みなとみらい線)より徒歩 6 分
料金:
前売り3,500円、当日4,000円、入場時U-25 3,000円(前売りのみ・要身分証)
※全席自由、未就学児の入場はご遠慮ください。
チケット:
チケットカンフェティ http://www.confetti-web.com/ydc2017
横浜赤レンガ倉庫1号館 045-211-1515(10:00〜18:00)