岡崎藝術座『+51アビアシオン, サンボルハ』『イスラ!イスラ!イスラ!』

Posted : 2016.02.01
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2月6日からスタートする国際舞台芸術ミーティングin横浜2016(TPAM2016)の期間に合わせ、横浜・東京エリアでは多くの公演が行われる。TPAMではこれらの作品をショーケースとして紹介しており、ここから海外公演の機会をつかんだ若手アーティストも多い。今回はショーケース公演、岡崎藝術座の2つの作品を紹介しよう。
Photo: Yuta Fukitsuka

Photo: Yuta Fukitsuka

 
南米、アメリカ、日本――異なる文化を経験してきた演出家がみつめる「他者との共生」

2003年に劇団を結成してから着実な創作活動を重ね、国内外の舞台芸術フェスティバルへ精力的に参加しながら活動の幅を広げてきた劇団・岡崎藝術座。彼らの新境地をひらき、集大成としての評価を得た作品『+51アビアシオン, サンボルハ』と、最新作の『イスラ!イスラ!イスラ!』の2作が、TPAM開催期間中に同時上演される。

沖縄からペルーへ移民した家系に生まれた劇作家・演出家の神里雄大さんは、多文化・多言語に囲まれた環境で育ったアーティスト。『+51アビアシオン, サンボルハ』は、その祖父母の足取りを追った取材をもとに創作に取り組み、2015年2月の初演で大きな反響を呼んだ作品だ。北海道で農業に携わる実業家との出会いなどを経て、人々の“ふるさと”のありようを見つめてきた本作は、これまで計9都市で上演を重ねている。劇中では東京、沖縄、ペルーへと舞台を移しながら「移民した者(せざるを得なかった者)・移民したかった者・移住したがっている者」の3つの人生を重層的に描き出した。自らのルーツと交錯する本作は、第60回岸田國士戯曲賞(白水社主催)最終候補作品にもめでたく選出され、まさにいま熱い注目を集めている。

近作では「他者との共生」というテーマを一貫してもつ神里さん。自身が『+51アビアシオン, サンボルハ』の“兄弟的な作品”と語る新作『イスラ!イスラ!イスラ!』もまた、北海道の実業家が憧れたという人物の足跡を追う取材からスタートした。この2作は「人々の移動と他者の集まる社会」というテーマで串刺しされていると神里さんは語る。新作の舞台は架空の島々。さまざまな野心や思惑をもってやってくるものと、穏やかに暮らしたいものが共生している世界だ。主役は人間ではなく、鳥や動物たち、あるいは島全体が話者になるように描かれている。

「人間ではないものを通じて、人間社会を考える。(中略)正義とか秩序とか声の大きさとかそういうものから遠ざかっても、人間社会のやりかたはけっこうあるのではないかしらという見地を、ささやかに表現してみたいと思っています。人間ではない存在が持つ、かもしれないロジックや常識をイメージしながら、他者が混ざり合う社会の可能性を考える。」(演出ノートより 神里雄大)

日本に暮らす人たちの多様な差異や背景、移民・移動して生きていく人たちに焦点をあてて創作を続けている神里さん。ペルーに生まれてから、パラグアイ、アメリカ、日本の三ヵ国、多文化・多言語に囲まれた環境のもとで育った経歴が、作品づくりの主題として色濃くうつしだされている。異なる文化や言語、政治の中で、他者同士がどのように共に生活していくことができるのか? 世界に目を向ければ、移民があふれ、国籍や国境の境界線を越えた共生の可能性が問われている。

岸田戯曲賞の行方も気になる『+51アビアシオン, サンボルハ』と新作の『イスラ!イスラ!イスラ!』、岡崎藝術座の最新作2本をまとめてみられるまたとないこの機会。お見逃しなく!

2作ともアーツコミッション・ヨコハマ「平成26・27年度創造都市横浜における創造的活動支援助成」対象事業です。


〇プロフィール

岡崎藝術座
2003年、演出家・作家の神里雄大の演出作品を上演する目的で結成。南米の照りつけるような太陽のイメージや色彩・言語感覚、ニュータウンの無機質さが混在する作品を創作し、独自の存在感を持つ。『しっぽをつかまれた欲望』で第7回利賀演出家コンクール最優秀賞演出家賞受賞(2006年)。フェスティバル/トーキョー(2010-2012, 東京)やTaipei Arts Festival (2012, 台湾)など国内外のフェスティバルで公演を行なう。『ヘアカットさん』(2009)、『(飲めない人のための)ブラックコーヒー 』(2013)が 岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされた。

〇イベント情報

(S) 新作『イスラ! イスラ! イスラ!』
(A) 前作『+51 アビアシオン, サンボルハ』
http://okazaki-art-theatre.com/

2月3日(水)20:00 (S)
2月4日(木)20:00 (S)
2月5日(金)20:00 (S)
2月6日(土)13:00 (A) / 20:00 (S)
2月7日(日)13:00 (A) / 20:00 (S)
2月8日(月)13:00 (A) / 18:00 (S)

上演時間:(S) 90分 (A) 80分 
(S) (A) 共に英語字幕あり

会場:ST スポット(神奈川県横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビルB1)
最寄り駅:横浜駅徒歩8分
料金:一般前売 2,800円、一般当日 3,300円、学生前売 2,000円、学生当日 2,500円
ペアチケット 5,200円(前売のみ取扱)

お問い合わせ:precog(Tel: 03-6825-1223)