ダンコレ2016、オープニング作品『無・音・花』で1/23開幕!

Posted : 2016.01.13
  • mail
21回目の開催を数える横浜ダンスコレクション(以降、ダンコレ)。横浜赤レンガ倉庫1号館を中心に、若手振付家から国内外のダンスシーンの第一線で活躍する振付家が集う、ダンスフェスティバルの季節が今年もやってきた。ダンコレ2016のオープニングを飾る『無・音・花』は、横浜ゆかりの現代美術家・丸山純子さんと、振付家のチョン・ヨンドゥさんによる共同作品だ。ダンコレならではのコラボレーションでおくる本作は、世界初演の新作としても注目を集めている。本番を目前に控えた本作の創作の過程をレポートしよう。
2016年1月8日赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて

2016年1月8日赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて

 
韓国を代表する振付家、チョン・ヨンドゥが新作に込める想い

振付家のチョン・ヨンドゥさんとダンコレとの出会いは、今から12年前にさかのぼる。2004年に開催されたダンコレのコンペティションで、「財団法人横浜市芸術文化振興財団賞」と「若手振付家のための在日フランス大使館賞」をダブル受賞したのがヨンドゥさんだった。これまでのダンコレ20年の歴史の中で「財団賞」と「フランス大使館賞」をダブル受賞したアーティストは、ヨンドゥさんただひとり。

「横浜赤レンガ倉庫は、私が日本でのキャリアをスタートすることになった大切な意味を持つ場所です。ここで新作のクリエーションに取り組むことができるのは、大きな喜びです。」(チョン・ヨンドゥ)

2016年1月8日赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて

2016年1月8日赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて

本作『無・音・花』の出演ダンサーは、2015年11月に実施したワークショップオーディションで選出された4名だ。オーディションの参加者は、過去のダンコレのコンペティションへの応募経験がある振付家・ダンサーを対象に募られた。

ワークショップオーディションの中では、ダンサーたちが丸山純子さんの美術作品《無音花》の一輪を手に持ち、花から受け取ったインスピレーションで身体を動かす一幕もあった。またヨンドゥさんはダンサーたちに、「重力を使って身体を動かしてください」とたびたびインストラクション(教示)を与えていた。丸山さんの《無音花》にダンサーの身体がどのように呼応するか、自然にある重力とどのように関係をつくっていくか――。そんな視点でヨンドゥさんは本作に臨んでいる。

 
cravig for more (2002)

cravig for more (2002)

 
現代美術家・丸山純子の美術作品《無音花》とダンスのコラボレーション

現代美術家の丸山純子さんは、スーパーやコンビニのレジ袋を素材に花畑をつくる《無音花》のシリーズを約20年間にわたってつくり続けている。越後妻有・大地の芸術祭や入善・下山芸術の森発電所美術館など、国内外で作品を発表する中、BankART Studio NYK神奈川芸術劇場(KAAT)での展示や、「横浜市・成都市アーティスト・イン・レジデンス交流事業」への参加など、横浜を活動の軸にしているアーティストだ。ダンコレ2016のオープニングを飾る公演には、丸山さんの《無音花》を舞台美術として、ヨンドゥさんのダンスとの共同作品『無・音・花』が構想された。

「無音花畑 NYK」BankART Studio NYK展示風景

「無音花畑 NYK」BankART Studio NYK展示風景

人々の生活の中で、ふだんは捨てられていくレジ袋。しかしそのビニールを素材として生まれ変わった《無音花》には、一つひとつの花に、物語なのか魂なのか、何かが宿っているかのように感じる。 

本作の稽古初日の前日に、丸山さんからヨンドゥさんへ、「ダンサーたちに一度《無音花》をつくってみてもらってはどうだろう?」という提案があった。「モノ」としては残ることがないダンスをつくっているヨンドゥさんにとって、この《無音花》づくりのワークショップが、本作の大切なスタートになったという。想いを花に込めるように、ヨンドゥさんとダンサーたちは丸山さんと一緒に花をつくった。 

今回ふたりのタッグをオープニング作品としてプログラムした、横浜市芸術文化振興財団チーフプロデューサーの小野晋司さんには、どのような意図があったのだろう?

 「《無音花畑》の展示を見た時に、不思議と音が聞こえてくるような感覚を覚えたんです。それは自分の身体の中に自然にある音に、耳を傾けるような感覚でした。また、ヨンドゥさんの振付にも、音が聴こえてくるような瞬間があります。呼吸や鼓動といった内からの生命のリズムを大切にして動きがつくられるからかもしれません。このふたりの親和性が今回のコラボレーションの出発点になると思いました。」(小野晋司)

2016年1月8日赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて

2016年1月8日赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて

 
ヨンドゥさんの振付の手法

丸山さんとのコラボレーションにあたってヨンドゥさんが具体的に取り組んだことは、丸山さんの作品《無音花》のタイトルを、1文字ずつに分けて新たな意味を見出す作業だ。ダンスのパートは「無」「音」「花」の3つの柱に分けてつくられている。

「丸山さんの作品タイトルの間に“中黒(・)”を入れて、一つひとつの文字の意味をより深めて考えたいと思いました。たとえば振付にする際には、もともと“無”という字から発展している“舞”という字にインスピレーションを得たり、“花”は草冠に化けるという字なので“変化”や“時間”といったイメージを重ねて考えたりしています。」(チョン・ヨンドゥ)

ヨンドゥさんの振付は、図やドローイングなどの“スコア”によってシステマティックに設計されている。重力や、呼吸のリズムなどを大切にしながら、緻密に計算された繊細な動きでヨンドゥさんは振付をしている。

「何かを理解しようとするよりも、日常の中で、太陽や緑、自然を見るような感覚で舞台を観てもらえたら、作品から何かを感じてもらえるのではないかと思います。」(チョン・ヨンドゥ)

2016年1月8日赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて

2016年1月8日赤レンガ倉庫1号館3階ホールにて

本作では丸山さんの1000本以上の《無音花》が、舞台上に登場する予定だ。ヨンドゥさん自身も出演するオープニング作品の『無・音・花』、圧倒的な花畑のインスタレーションとダンスのコラボレーションを堪能できる、またとない機会になりそうだ。 

来週末の1月23日(土)から、『無・音・花』でいよいよ開幕する「横浜ダンスコレクション2016」。新しい表現を見つけに、横浜赤レンガ倉庫へ足を運んでみてはいかがだろう?

 


アーティスト・プロフィール
Jung Young Doo クレジット 提供:LG art center_s

提供:LIG Art Center

チョン・ヨンドゥ:
韓国生まれ。俳優を経て、20代から舞踊を学ぶ。高度なダンスメソッドと明確なコンセプト、繊細な動きに定評がある。「横浜ダンスコレクション2004 ソロ×デュオ・コンペティション」にて、「財団法人横浜市芸術文化振興財団賞」及び「若手振付家のための在日フランス大使館賞」を受賞。韓国を代表する振付家であり、韓国と日本を拠点としながら世界各地で活躍する。現在、立教大学現代心理学部映像身体学科特任准教授。

 

丸山純子 クレジット大野隆介_s

Photo:大野隆介

丸山 純子:
1976年山梨県生まれ。立命館大学国際関係学部(環境・経済)、 City University of New York, Hunter College BFA卒業。2009年朝日新聞文化財団助成及び台北市・横浜市アーティスト交流プログラム審査員特別賞受賞。また2014年、横浜市・成都市アーティスト・イン・レジデンス交流事業にて、中国・成都市において滞在制作。現在、横浜を中心に活動し、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」等に参加。

 

【無・音・花】無音花 クレジット大野隆介_s

日時:1月23日(土)   18:00
       1月24日(日)   14:00 /18:00
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
美術・演出:丸山 純子
振付・演出・出演:チョン・ヨンドゥ
出演:戸沢 直子、中原 百合香、西岡 樹里、濱田 陽平    
料金:3,000円、学生2,000円(当日券+500円)
http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/jp/opening.html

【横浜ダンスコレクション2016 概要】

開催期間:2016年1月23日(土)~2月14日(日) 計23日間
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館(メイン会場)・屋外広場、象の鼻テラス 他
主催:公益財団法人横浜市芸術文化振興財団
共催:在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ日本 他
公式WEB→http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/

創造都市横浜 特集記事
「横浜から世界へ――横浜ダンスコレクションの20年」
https://yokohama-sozokaiwai.jp/special/11843.html