「アートと都市を巡る横浜と台北」展、開催中

Posted : 2015.08.21
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横浜港の運河沿いにあるアート拠点、「BankART Studio NYK」では日本と台湾の21名のアーティストによる展覧会を開催中(9月13日まで)。文化や教育など様々なことを通して、古くから交流してきた日本と台湾。横浜市と台北市の交換アーティストインレジデンスに参加したアーティストたちがその成果を発表するこの展覧会、二つの街の新しい関係が見えてくるだろう。
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オープニングでのSUNDRUM のパフォーマンス

 

滞在制作でアーティストにどんな変化が?

横浜市と台北市は「パートナー都市」だ。世界に開かれた国際都市としてアジア各都市とのネットワークづくりに取り組んでいる横浜市は、台北市との「芸術家交流事業」を2005年に開始した。そのひとつが、「BankART 1929」と「台北国際芸術村(TAV)」の芸術部門の交流だ。アーティストがお互いの施設に約3ヵ月間滞在しながら制作を行なった。この交換アーティストインレジデンスのプログラムが10年を迎えた。これまでに参加したアーティストたちは、近いようでいて見知らぬ異国の地に滞在して、何を考え、どんな変化を自分自身や周囲にもたらしたのだろうか。

台北国際芸術村(Taipei Artist Village=TAV)について
台北市の中心地にあり、台北市と世界との創造的な交流を広げるための機能を備える施設。2001年台北市文化局が設立。アーティストインレジデンス・プログラムを行ない、展覧会や公演を主催することをミッションとしている。

オフニブロール《日の丸》

オフニブロール《日の丸》

 

2005年にTAVに滞在したのはオフニブロールだ。ディレクター集団であるNibrollの映像作家・高橋啓祐さんと振付家・矢内原美邦さんのユニット、オフニブロールは、刺激的な映像作品を出展。

東野哲史さんは布団に寝起きしながら当時の日記を書き写した

東野哲史さんは布団に寝起きしながら当時の日記を書き写した

 

東野哲史さんは2006年に台北に滞在した。今回は当時書き溜めた日記を壁いっぱいに書き写した。台湾ビールを飲みながら、疲れると敷いた布団に寝ながら、こんこんと書く作業を続けた。日記は現在にと飛んで更新中。

頼珮瑜《Another Homeland》

頼珮瑜《Another Homeland》

 

2006年に台北から横浜BankART 1929に滞在したのは頼珮瑜さん。「都市シリーズ」に取り組んでいた頼さんがドット(点)のみで、「不思議と親しく感じられる都市」と言う横浜の風景を描いた作品だ。

オープニングにてドローイング・パフォーマンスを見せる村田峰紀さん

オープニングにてドローイング・パフォーマンスを見せる村田峰紀さん

2007年に村田峰紀さんは台北に滞在し、自分が着ている白いシャツの背中にドローイングするパフォーマンスを行なった。その数十枚のシャツのインスタレーションは圧巻だ。

陳宛怜《小宇宙/Microcosmos》(部分)

陳宛怜《小宇宙/Microcosmos》(部分)

 

2008年には陳宛怜さんが横浜に滞在した。彼女は「都市の日常生活」に関心があると言う。時間の経過を伴った不思議な写真作品に引きつけられた。

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オープニングで日常の音と自身の作曲を組み合わせた作品《Inter Face》を演奏した陳怡慧さん

2010年の作曲家・ピアニストの陳怡慧さんの横浜滞在は、東日本大震災によって中断された。横浜市立東小学校の音楽の授業やホームルームから音声を採集していた怡慧さんは、横浜トリエンナーレ2011と特別連携したBankART 1929の企画「新・港村」のプロジェクトの中で再来日を果たし、作品をコンサートで発表した。

 

 

 

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2014年に台北のみならず台湾中津々浦々をわたり歩き、少数民族や山岳民族と生活をともにしたのは、パフォーマンス集団のSUNDRUM だ。台湾の山奥の村でともに歌い続けることで先祖の知恵や神話の世界までを共有したのだという。SUNDRUMは8月25 日(火)と31日(月)に《SUNDRAUM SUNDREAMING LIFE in BankART》と題したパフォーマンスを行なう。

21人の横浜/台北交流アーティストインレジデンスを体験したアーティストたちの作品にふれると、それぞれの個別の記憶や感情に揺さぶられる。3ヶ月の滞在で誰もが何らかの大きな体験をして創作活動にそれぞれの投影を行なっている。横浜という街、台北という街が与えたものについて想像しながら、ぜひじっくり観てみよう

横浜/台北交流アーティストインレジデンス
⇒台北へのアーティスト;
オフニブロール
東野哲史
村田峰紀
川瀬浩介
井出賢嗣
伊佐治雄悟
幸田千依
松田直樹
磯崎道佳
サンドラム
丸山純子

台北から⇒のアーティスト;
陳妍伊
賴珮瑜
何明桂
陳宛伶
周育正
陳怡慧
羅仕東
羅懿君
楊子弘
許喬

また、9月6日(日)には関連イベントとして、シンポジウム「まちにひろがる創造の拠点~横浜創造都市と台北URSの歩み~」が開催される。台北市から都市政策のキーパーソンらを招き、横浜における取り組みとの比較を通して議論を行なう。台北市の歴史的資産の活用や、文化芸術に着目したさまざまな実験的な試みは世界的に注目を浴びている。横浜のこれからの都市再生のあり方も見つかるかもしれない。


【イベント・インフォメーション】

「アートと都市を巡る横浜と台北」

会期 : 7/24(金)~9/13(日)
時間:11:00~19:00(最終日9/13は17:00まで)
入場料: ¥1,000(カタログ付き)
会場: BankART Studio NYK(全館)
最寄り駅:みなとみらい線「馬車道」駅
お問い合わせ:BankART1929    TEL : 045-663-2812
http://bankart1929.com/archives/279

横浜・台北交流シンポジウム
「まちにひらかれた創造の拠点~横浜創造都市と台北URSの歩み~」

日時:9月6日(日)17:00-19:00
会場:BankART Studio NYK

パネリスト:
林崇傑(台北市産業発展局局長)
丘如華(台湾歴史資源経理学会秘書長)
林宜珍(忠泰建築文化芸術ファンデーション秘書長)
秋元康幸(横浜市建築局企画部長)
池田修(BankART1929 代表)
青井哲人(明治大学准教授)

コーディネーター:
鈴木伸治(横浜市立大学教授)

お問い合わせ:BankART1929  TEL : 045-663-2812