関内外OPEN!リレーコラムVol.10

Posted : 2014.03.28
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皆さんこんにちは、リレーコラム第10回目ということで今回私柳澤潤が担当します。前回の黄金町エリアマネジメントセンター(以後黄金町AMC)にお勤めの吉岡辰訓さんからご紹介いただきました。まず初めに私が主宰するアトリエ設計事務所、コンテンポラリーズの活動を紹介させていただきたいと思います。

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コンテンポラリーズは“同時代に生きる人々”という意味です。つまりこの時代に生きて関わる人々は皆コンテンポラリーズ、という世代や人種を超えて一緒に取り組もう、という意識でつけた事務所名です。現在スタッフは5名、今年入社したばかりのスタッフから10年選手まで、僕が言うのもなんですが皆僕より良く働きます。ちょうど2000年に一人で立ち上げた事務所ですがいつの間にか14年も経過し、横浜に来てからも今年で5年目を迎えます。

現在は病院、納骨堂などの公共建築を中心に集合住宅やリフォームなど本当に雑多な仕事を引き受けてやっています。頼まれるとどんな仕事であれ大方引き受けてしまうのが長所でもあり欠点とも言えるでしょうか。

さてコンテンポラリーズは設計事務所ですが、松島ビルという築40年以上経つビルの4階でシェアオフィスもしています。現在は天野和俊デザイン事務所ケイティーアーキテクチャー(以後K.T.A)という設計事務所の3つでワンフロアをシェアしています。ちょうど今1ブース空いたところなので興味ある方は一度覗きに来ませんか?

シェアオフィスは2004年から2009年まで居た世田谷ものつくり学校(通称IID)からずっと継続しています。シェアオフィスの良さは何と言っても事務所の若いスタッフがそこで他の事務所と生活を共にすることで他人への配慮やちょっとした公共性を身につけることだと思ってずっと継続しています。オフィスをきれいにする、という当たり前のことが他人と交わることでよりその意味を理解できるからです。まあこれは些細な一例ですが、どちらかというとうちのスタッフを育てていただいている、というのが正しい言い方でしょうか。もう天野さんとは5年目、K.T.Aも2年半が過ぎました。毎週月曜の朝皆で雑巾がけしてオフィスの環境をなんとか維持しています。

16_20110804_0088r04_20110804_0136r横浜に世田谷から越してきて最初に横浜での仕事になったのが、前回の吉岡さんが現在活動されている黄金町高架下プロジェクトです。ここでは小さなギャラリーとショップの設計を依頼されたのですが、当時創造都市推進課の仲原さんと梶山さんがいきなり事務所にやってきて、かくかくしかじかで小さな施設ですが公共的には大きな意味をもつものですから引き受けていただけないでしょうか、とお願いされました。とても嬉しかったことを覚えています。世田谷に居た時にも行政に何度も街づくり的なことを仕掛けましたが結局全く実を結ばなかった、それが横浜に来てすぐ我々のような小さなアトリエに横浜市が出かけて来て仕事を依頼してくださるなんて夢のようでした。ですから凄くエネルギーをかけて出来上がりました。現在は他の高架下プロジェクトとも一緒に黄金町AMCの方々にサポートされて地域に根付きつつあります。本当に高架下の雰囲気がこの10年間で随分変わりました。春には大岡川の桜がきれいなので是非出かけてみてください。

Exif_JPEG_PICTUREExif_JPEG_PICTURE一昨年、この高架下プロジェクトとほぼ時期を一緒にして設計の依頼を受けたのが新港村プロジェクトです、これはBankART1929の池田修さんから直接お願いされたもので、 横浜トリエンナーレの一環として既存の倉庫の中に仮設の街を設計する、という依頼で、大きな倉庫群の一角をみかんぐみと一緒に様々なクリエーターの展示ブースとしてデザインしました。インスタレーション空間といった方が分かり易いかもしれません。その後その場所はハンマーヘッド「新・港区」として現在2年間の期限付きオープンオフィスとしてクリエーターが様々な活動を繰り広げる場所へと転用されました。2014年3月末でその役割を一旦終えようとしています。

シェアオフィス、高架下プロジェクト、新港村の紹介をしましたが、もうひとつ横浜に来て僕がこだわって続けているイベントがあります。それがデザインピッチです。これはもともと関内外OPEN!という関内やその近辺で仕事されるクリエーターの事務所をオープンにして2日間程度見学できる、という大きなイベントの一環として始めたものですが、デザインピッチは昨年秋でもう3度目の開催となりました。10人のクリエーターが10分間でプレゼンテーションする、といイベントです。ヨコハマ創造都市センター(YCC)の絶大なるサポートを受けて行ってきたイベントですが、僕はこれをとても大事にしています。10人の個性がぶつかりあい、あっという間に3時間が過ぎてしまう、僕にとっては充実した夢のような時間。言ってみれば異種格闘技です。僕の役割はこのクリエーターを探してくることと司会進行ですが、3回目を迎え、ますます面白いイベントなってきたと実感しています。

 
秋元大/セグウェイジャパン株式会社

秋元大/セグウェイジャパン株式会社

 
栗栖良依/スローレーベル ディレクター

栗栖良依/スローレーベル ディレクター

 
こうやって横浜に来てからの5年間を振り返るといかに横浜と関わるプロジェクトが多かったか、ということがわかります。現在も関内駅北口の広場のデザイン検討や日野公園墓地の納骨堂の設計など横浜との関わりがますます深くなりそうな気がしています。今後のコンテンポラリーズの目標は、というとやはりどんなに小さくてもいいから街の中に公共的な場所を増やしてゆきたい、ということでしょうか。ただ公共的、というのではなく、その場所、その地域の個性がじわっと滲み出てくるような、そんな味のあるパブリックスペースの設計に関わってゆきたいと願っています。

次はこのパブリック、というキーワードでも繋がっているタイプデザイナーの両見英世さんです、デザインピッチにも出場していただきました、両見さん、宜しくお願いします。

s-profile picture1r柳澤 潤
東京生まれ、鎌倉・材木座育ち。小学校の帰りはいつも海岸に寄り道、塩害に脳がやられたまま大人になりました。東京工業大学大学院修士課程修了、1992年 伊東豊雄建築設計事務所入社。2000年コンテンポラリーズ主宰。神奈川大学、東京理科大学、東海大学非常勤講師、2011年東京工業大学大学院連携准教授。