スポーツ×クリエイティブの新拠点「THE BAYS 」が横浜に

Posted : 2017.04.11
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横浜スタジアムがある横浜公園に面する日本大通りの角には、過去に「ZAIM」と呼ばれて親しまれていた旧関東財務局の端正な歴史的建造物がある。この春、そこに横浜DeNAベイスターズが管理運営する「THE BAYS(ザ・ベイス)」が誕生した。スポーツで魅力的なまちづくりを目指す球団が新たに打ち出した『横浜スポーツタウン構想』の中核施設として、その活動をいよいよ実践に移すことになる。

オープニングセレモニーにて。
左からラミレス監督、岡村球団社長、渡辺横浜市副市長

 

ディー・エヌ・エーが2011年に球団を引き継いでから、横浜DeNAベイスターズは『コミュニティボールパーク』化構想を打ち出し、野球以外でも親しむことのできる横浜スタジアムの利用を考え、横浜公園と一体化するように市民へと開く取り組みを行ってきた。スタジアムのゲートを開けて撮影ポイントとしたり、球場内で朝キャッチボールが楽しめたりと、画期的な試みはすでに新たな横浜の魅力となりつつある。球団、球場のある生活が市民の日常となるような理念を掲げている。

横浜DeNAベイスターズはさらにその理念を拡げ、スポーツでまちづくりに貢献することを目指して『横浜スポーツタウン構想』を発表。その本拠地として、スポーツをテーマとした旗艦施設「THE BAYS」を3月18日にオープンさせた。

「横浜スタジアムはまちの真ん中にあるという珍しいロケーションを誇っています。昨年の座席稼働率は93%、史上最高の194万人のお客様に来場していただきました。この方たちに球場の外でも楽しんでいただきたい。スポーツは観光を担う一大要素でもあり、まちの活性化にもつながります」と話すのは、横浜DeNAベイスターズ代表取締役社長である岡村信悟氏。

「THE BAYS」の場所は横浜公園に面した日本大通りの角にある旧関東財務局のビル。1928年建造の横浜市指定有形文化財だ。外観の意匠や内部のレンガの壁など、建物のオリジナリティを尊重しつつ、かつ現代的にリノベーションされた5フロアの施設には、球団オフィスをはじめ、カフェ、ショップ、フィットネススタジオやのコワーキングのラボなど、誰もがいろいろなかたちで関わることのできる場所がある。

THE BAYS外観

 

地下1階は「ACTIVE STYLE CLUB」。フィットネス用のスタジオがあり、ここではキッズのためのスポーツやチアプログラムが実施される。また大人向けに、このスタジオでのアクティビティの提供するほか、公園や港など、横浜の街を楽しみながら行うアウトドアのフィットネス・プログラムが用意されている。(会員制)

建造時のレンガを見せた素敵な空間。「ACTIVE STYLE CLUB」

 

1階には野球をテーマにしつつも、日常生活に使用できるオリジナル商品を販売する「+B(プラス・ビー)」。アーティストとのコラ商品など、この店でしか入手できない限定版も用意されている。同じく1階にあるカフェ「&9(アンド・ナイン)」はミートボールやクラムチャウダーなどの食事や球団オリジナル醸造のビール「ベイスターズラガー」や「ベイスターズエール」が楽しめる。また、外のスペースがテラスとなっており、これからの季節が待ち遠しい。

野球のファンでなくても欲しいものが見つかるLifestyle Shop 「+B」

球団オリジナル醸造のビールや食事が楽しめるBoulevard Cafe 「&9」

屋根つきのテラス。夏のビールがおいしそう

 

2階はスポーツ×クリエイティブを具体化、実現化させていくためのプラットフォーム「CREATIVE SPORTS LAB」。「THE BAYS」の中心部分と言えるだろう。連携会員制のコワーキング・スペースで、現在会員に連なっているのは「慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科」「横浜ゆるスポーツ協会」「超人スポーツ協会」「スノーピークビジネスソリューション」など。日本を元気にする新たな産業創出を、ここ横浜から目指す人、企業の参加を募っている。

「大学や企業が集まって、新しいスポーツの価値を創造し、発信する拠点です。スポーツの概念を広げ、新しい社会のモデルを生み出すような空間に発展してほしい。2020年のオリンピックも視野に入れて、ここが将来スポーツのシリコンバレーと呼ばれるようになることを期待しています」と岡村氏。

中にテントも設置され、アウトドア感覚満載の「CREATIVE SPORTS LAB」

 

3階はミーティング・スペース、そして4階が球団オフィスとなる。

「今まで、横浜駅からみなとみらい、山下公園まで、横浜の魅力をつなぐ横の導線はいくつかありましたが、今回、横浜文化体育館から横浜スタジアム、横浜公園、THE BAYS、日本大通り、象の鼻、港までをスポーツでつないだ縦の導線を組み合わせることによって、その魅力は面となって広がります。関内駅前の市庁舎移転後のスペース活用も思い描きながら、この一帯が公共の磁場のような役割を担えたらと考えています」

岡村氏は横浜を「近代文化発祥の地として、クリエイティブが与える影響によって豊かになった街」と考えている。現在、横浜スタジアムがあるのは、日本で初めて野球の国際試合が行われた記念碑的場所であるが、このような歴史的空間にいると“地の力”というものを感じるという。

ただ歴史は人々の暮らしの積み重ねによって作られているということもまた真実。スポーツは各々の人生の喜び、エピソードとしても大切な役割を果たす。

「例えばある少年に落ち込む出来事があった。気晴らしに家族で野球の試合を見に行き、そこで筒香がホームランを打って、一瞬でも鬱憤が晴れて、励まされた気持ちになった。そんな思いをした少年は、将来自分の子どもを野球に連れ出してくれるのではないでしょうか」

「THE BAYS」を核として、そんなスポーツの楽しさ、素晴らしさを発信し、体験できる場所づくりをこれからも積極的に行っていくとのこと。

「この場所をお預かりしている立場として、価値のあるものを次世代に残すこと、それが務めであると思っています」

昨年、球団社長に就任した岡村氏

 

THE BAYS

住所:横浜市中区日本大通34
アクセス
日本大通り駅(みなとみらい線)徒歩4分
関内駅(JR京浜東北・根岸線、横浜市営地下鉄ブルーライン)徒歩7分
https://www.baystars.co.jp/thebays/