昔ながらの雰囲気を残した、国内外の古本と雑貨が並ぶギャラリー「greenpoint books & things」<山元町>

Posted : 2017.03.30
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石川町から10分ほど。坂を登った小高い丘の商店街の一角にひっそりと佇む古い木造の店舗には、時代を感じるカメラ店の看板が掲げられている。ゆらめく古いガラスの向こうに並んでいるのは、本棚と文具や食器などの可愛らしい雑貨。 ここは、町の小さな古本&雑貨とギャラリーのお店「greenpoint」。一歩足を踏み入れると、海外の雑貨屋さんのような雰囲気のある世界に誘われる。

この建物の雰囲気を残したくて、自らお店をオープン

オーナーの赤木さんは、「オープンして、昨年で5周年でした。6年目に入るのに未だに『こんなお店があったことは知りませんでした』『いつできたんですか?』と聞かれることもあるんですよ。シャッターを閉めると、もう存在がなくなっちゃう」と笑う。

もともとは都内在住の、フリーランスエディター兼ライター。横浜へ引っ越してきて、山元町商店街の雰囲気に惹かれたそう。
「すごく味があって、”いいな”と思ったんです。閉まっている店も多いんですけど、昭和の古い町並みが残っていて、都内の下町とも違っていて」。

中でも、ひときわ赤木さんの目を引いたのが、この元カメラ屋さんの建物。店舗が閉まったままの建物の上に、古い看板が残っていた。その時点では、まだ自分で店を開くとは考えていなかったものの、中がどうなっているのか気になって、不動産屋さんに見せてもらうように頼んだ。

「見せてもらったら、すごく雰囲気のいい空間でした。ガラスのショーケースがあって、木の棚があって。たぶん、お店が開いていた頃はカメラが並んでいたりしたんでしょうね。眺めていたら「ここを誰かが借りて、壊されてしまったり、まったく違う雰囲気になってしまったら嫌だな」と思えてきたんです。だんだんと、それだったら自分で借りてしまおうか、この広さだったら1人でやっていけないことはないかも……と思いが広がって、考えた末に借りることに決めました。リノベーションしたように見えるかもしれませんが、1階部分はほとんど変えていないんです。床も当時のままなんですよ」。

真っ茶色に汚れていたガラスを丁寧に磨き、天井は剥がれていたので貼り替えた。2階は床がボロボロだったので手を加えたものの、なるべく当時の雰囲気を残したままで整えることに気を配った。
「何のお店にしようか考えたんですけど、昔古本屋で働いていたこともあるし、もともと古いものが好きでもあるし。そんな自分できること……と考えて、今のスタイルになりました」。

 

古いものと新しいものの融合に惹かれて名付けた「greenpoint 」

greenpoint」という店名は、アメリカ・ブルックリンにあるその名もずばりグリーンポイントという町の名前からとった。
「友人が住んでいることもあって何度か旅行に行ったんですけど、すごく好きになってしまって。そこも、商店が並んでいて、古い店と若者が経営している新しい店がうまく融合していて、とても落ち着くんです。結局、私がそういう雰囲気が好きだってことですね」。
お店を準備中、グリーンポイントに暮らすアーティストの、街の地図をグラフィカルに描いた作品をネットで見つけ、店に飾るためにコンタクトを取った。そのアーティスト・SARAH LUTKENHAUS(サラ・ルッケンハウス)の展示も、2階のギャラリーで行ったそうだ。

1階には、ファンシーすぎず、おしゃれすぎず、生活の中に溶け込むようなほっこりとした雑貨たちが並んでいる。旅の本を編集・執筆することが多い赤木さんが海外取材に出かけた際などに出会った作家ものや蚤の市などで販売されていた雑貨を少しずつ集めて置いているそう。アメリカに旅行に行った時はアメリカ雑貨、ベルギーやオランダに取材に行った時はヨーロピアンな雑貨が増えるとか。

本棚に目を向けると、料理や手芸などの実用書が目立つ。
「気軽に読める本がいいな、と思って選書をしています。このあたりに本屋さんがないということもあって、近所の方が楽しめるように比較的新しい本も置いています。また、古本屋さんとしては狭いし本の数も圧倒的に少ないですよね。なので、基本的には新刊書店に大きくコーナーを作ってもらうようなベストセラーじゃなくて、例えば自費出版だったり、個人出版社だったりといった、あまり他では見ないような本を置きたいと思っています。あと置いているのは、自分が関わった本です(笑)」

赤木さんが編集・執筆を手がけた「ラトビア、リトアニア、エストニアに伝わる温かな手仕事」(誠文堂新光社/赤木真弓)

 

2階はギャラリー。屋根裏部屋のようなこじんまりとしたスペースながら、差し込む光が柔らかに広がり、心地のよい空気感に包まれる。
ギャラリーの展示や、展示に合わせたワークショップはgreenpointの魅力のひとつ。横浜で作品展示をすることの少ない隠れた人気作家さんが多く、展示を見に来るために都内から足を運ぶお客さんも多い。

4/1(土)までの展示・mïndy「Coban×Caban」展の様子。

 

展示作家さんは、基本的に「赤木さんの好きな人」。
「行きたいけどなかなか見に行けない展示や、やってみたいワークショップなど、自分で興味がある人やコトをお願いすることが多いです。行けないなら来てもらっちゃおうと思って(笑)」。

商店街の中で本屋さんや雑貨屋さんも兼ねているgreenpointには、「普段、美術館やギャラリーに行かない」というご近所の方々もふらりと立ち寄り、たまに2階へ上がっていくこともある。
「『今まで絵なんて買ったことがない』という方にも、通りすがりに展示を見ていただけるのは嬉しいですね。ぜひ気軽に見に来て、気に入ったら手に入れてほしいと思っています。たとえ小さなものでも、家の中に気に入った作家の1点ものがひとつあるだけでその空間が豊かになりますから。うちのような小さな店が、『好きなもの』に気軽に手を伸ばせるきっかけになれたら嬉しいです」

4月6日からは、アーティスト・小田原亜梨沙さんの「君と僕」展が始まる。刺繍Tシャツやペインティング作品などのほか、フードクリエイター「山フーズ」によるコラボスイーツも販売する。また、期間中の毎週土曜日は参加者の心に残しておきたい記憶などを聞きながらドローイングを仕上げていくイベントを開催(※要予約)。
ようやく待ちに待った春、根岸森林公園の桜も見頃を迎えます。横浜さんぽの途中で、ふらりと寄り道がてら立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

(取材:2017年3月24日 文章:いしだわかこ)

 

greenpoint books & things

営業時間:木・金・土 13:00〜17:00
住所: 〒231-0851 神奈川県横浜市中区山元町1-7
アクセス
石川町駅(JR京浜東北・根岸線)南口より徒歩10分
山元町一丁目バス停(桜木町駅(JR京浜東北・根岸線、横浜市営地下鉄ブルーライン)または日本大通り駅(みなとみらい線)より横浜市営バス21系統)下車すぐ。
TEL:050-3637-0017
http://www.gpbat.com