職場体験の中学生3名が意欲的に“ヨコトリ”を取材

Posted : 2014.10.28
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(公財) 横浜市芸術文化振興財団は社会貢献の一環として、中高生や大学生のインターンを受け入れている。今月は中学生3名が職場体験として参加。早速、世界的に有名なアートイベント“ヨコハマトリエンナーレ2014”の取材を行い、レポートを完成させた。

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美術の授業とはひと味違うアートを知る

先月、インターンとしてやってきた高校生2名は、ヨコハマトリエンナーレ2014の主会場のひとつ、新港ピア(新港ふ頭展示施設)をメインに取材した。そこで今月は、もうひとつの主会場である横浜美術館へ。
会場に足を踏み入れた瞬間、ちょっとビックリした様子の中学生諸君。それもそのはず、眼前には学校の授業で習ってきた美術とはひと味違う世界が広がっていたからである。中学生の目に映った現代アートとは? 参加アーティストの作品に対する意図を理解するのは難しかったかもしれないが、彼らなりの解釈でレポートをまとめてもらった。


「見ているうちに少しだけ理解できた気がしました」@Aさん

坂上チユキ《さがしもの》 Installation view of Yokohama Triennale 2014

坂上チユキ《さがしもの》
Installation view of Yokohama Triennale 2014

「これは何だ?」とはじめは思った。作品横のモニターにはアップの映像が映し出されていた。海の中の景色のように見えた。この作品には、多彩な色や形がたくさん使われていた。そこで魚に例えてみた。色は個性を表し、形は生きざまを表しているのだと思った。すると、一匹一匹の個性や生きざまは、さまざまであることに気付いた。だから、この作品は、「ひとつひとつ違う良さがある」ということをつたえているのではないか?
 
福岡道雄《飛ばねばよかった》1965-1966年 Installation view of Yokohama Triennale 2014

福岡道雄《飛ばねばよかった》1965-1966年
Installation view of Yokohama Triennale 2014

題名「飛ばねばよかった」にはどのような意味が込められているのか? 作品を見ると人間が困っている様子に見えた。バルーンが沈み、人間も落ちそうになっている。おそらく人間は、バルーンにつかまり飛んでいたが、バルーンが沈むと人間は、飛べなくなることを表現しているのだと思った

「これが美術なの? 正直、驚きました」@Bさん

マイケル・ランディ《アート・ビン》2010/2014年 Installation view of Yokohama Triennale 2014

マイケル・ランディ《アート・ビン》2010/2014年
Installation view of Yokohama Triennale 2014

外観は天井を貫くほどデカい。けれども中身はこれだけなの? これって展示するものなの? 美術展は絵や彫刻がメインだと思っていたので、この作品を見たときは、とても驚いた。よく見ると巨大なゴミ箱だけど、中に入っているのは「ゴミ」ではないかも。 
エドワード&ナンシー・キーンホルツ《億万長者》1977年 Installation view of Yokohama Triennale 2014

エドワード&ナンシー・キーンホルツ《億万長者》1977年
Installation view of Yokohama Triennale 2014

見るからにパッとしない。なのになぜ題名が「億万長者」なの? どこが「億万長者」なの? わからない。テレビのような外箱は錆びている。前面の銅板は歪んでいる。これも「忘却」? 中の数字は何? アーティストは何を意図して創ったのだろうか?

「忘れていたことを思い出させてくれました」@Cさん

吉村益信《大ガラス》1969年 Installation view of Yokohama Triennale 2014

吉村益信《大ガラス》1969年
Installation view of Yokohama Triennale 2014

この大ガラスは見た人にインパクトを与えています。羽毛もリアルで足は怖いくらい爪が尖っていて、強気に見えました。
今回のテーマ「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」から考えると、このカラスは自分の存在を主張したいのではないかと考えました。どこか遠くの方を見上げているのを見ると「過酷な状況でも生きていく強さ」を感じられます。
皆さんも本物を見ると、写真で見たものとまた違った迫力を感じるでしょう。
吉村益信《豚;pig’ Lib;》1994年 Installation view of Yokohama Triennale 2014

吉村益信《豚;pig’ Lib;》1994年
Installation view of Yokohama Triennale 2014

あなたの昨日の夕飯は何でしたか? そしてその食べ物がどこから来ているか考えながら食べていますか? おそらく、毎度毎度考えながら食べている人はそんなにいないと思います。けれど忘れないでください、生き物が死なずに食卓に届くことはありません。
この作品は、そのようなことを皮肉めいた形で伝えています。豚の下半身がそのままハムになっているところから、「自分のことも忘れないで」と訴えているのだと思います。
私はこの作品を見たとき驚きました。なぜなら、とてもシュールだからです。そして、自分の中で現代という時代の特殊な忘れ物を発見することができました。豚からハムができるのは当たり前。だからこそ忘れてはいけないことだと思いました。

中学生の素直な目で見た“ヨコトリ”レポート、いかがでしたでしょうか。あっ、そういう風に感じたんだ、着眼点が面白いね…などなど、同行したスタッフも感心することしきり。
ヨコハマトリエンナーレ2014は11月3日(月・祝)まで開催しています。お子さまとご一緒にアートに触れてみてはいかがですか?