横浜発の未来型野菜工場、収穫順調!

Posted : 2014.03.12
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昨年末、横浜・みなとみらいに突如、出現した円形の巨大なドーム。宇宙船か、サーカス劇場か、はたまたスケートリンクか、と噂が飛び交った。1月7日、ついにそのベールがはがされ、意外にもコンピューター制御の野菜工場だと判明。そして2月28日にはレタスが初収穫。ドーム出現から熱心に経過観察してきた編集部が潜入レポート!

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光ふり風そよぐ「横浜農場」

汽車道へと向かう観光客や、桜木町や馬車道のビジネスマンの目をくぎ付けにした巨大な透明のドーム。ふっくらと膨らんだ円形がキュートだ。横浜ランドマークタワーがそびえるみなとみらいの風景のなかで異彩を放っている。この中でレタス(サラトリオという品種、商品名「横濱レタス」)が土を使用しない溶液栽培(水耕)されているとは驚きだ。

ここは株式会社グランパが運営する「グランパ横浜農場」。直径29メートル、高さ6メートル、延べ床面積574平方メートル。透明のドームの膜は、樹脂フィルムでできていて、効率よく太陽光を採りこみ、柔らかい光をまんべんなく内部に届ける役目を果たしている。毎日の温度、湿度、二酸化炭素濃度、日照など15項目ものデータをコンピューターで計算して、レタスの光合成に最適な環境となるように24時間、自動制御している。

 厳重な二重ドアをくぐってドームの内部に入った。人間についてくる虫の混入を防ぐために、エア・シャワーも浴びる。この日の外気温は約9度。ドームの中は一年中20度前後に保たれているため、ぽかぽかと暖かい。透明膜をとおして 降り注ぐまろやかな光が心地よい。

内部は外気よりも少し高い空気圧となっているが、 息苦しさなどはなく、むしろ 膜に包まれた安心感と広々とした解放感を感じる。この気圧差のおかげで、天井の窓が開放されても外からは雨も風も入ってこないのだという。完全に外の気候条件とは隔絶された、野菜の栽培のためにとコントロールされた環境が確実に保たれている。

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ドーム内の床面積のほとんどを占めるのが、直径20メートルの円形水槽だ。よく見るとゆっくり回転している。養分の入った水が緩やかに流れている。内側から外側に向かって、レタスがだんだん大きく成長しながら整列しているのがなんとも愛らしい。円形水槽の中心部から苗を専用ユニットにひとつひとつ毎日植えていき、ゆっくりと回っていって外周に達したら、生育完了だ。

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内側から外側にだんだんと生育していくレタス(サラトリオ)

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メンテナンスブリッジに立つ横浜農場「農場主」の染宮さん(株式会社グランパ・プロジェクトマネージャー)

 緩やかに風がそよいでいることに気づいた。
「光だけではなく、風は、生育のためにとても重要な要素なんです」と話してくれたのは、ここの「農場長」と呼ばれる染宮信之介さん。植物自身が出す湿気が葉の裏側に片寄るのを防ぎ、病気や害虫の繫殖も抑える。完全に管理された人工的環境のなかに風がそよぐのは、少し不思議な気分だが、ほっとする。

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「育苗」。発芽したレタスの種は苗床に移され、円形水槽に植えつけられる

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養液循環ユニット。養分濃度、水温をコントロールして円形水槽に送り込む

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コントロール・パネル。さまざまな計測データをコンピューターで制御している

 

都市型野菜工場は地球を救う

株式会社グランパは神奈川県秦野市、藤沢市、岩手県陸前高田市など8か所の土地に70棟のドームハウスを建設して運営しているが、都市中心部での運営はこれが初めてだ。横浜市経済局とともに、二酸化炭素濃度や横浜の水道水など都心部ならではの条件を検証し、今後の都市型農業に役立てるのが目的だ。これだけの巨大ドームを建てられる場所は限られるが、みなとみらい21地区に隣接するこの土地は、横浜市から今年10月までという期限付きながら無償で提供を受けた。じつは数年後には横浜市庁舎が移転することになる、横浜市民にとって縁の深い地だ。

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株式会社グランパ・阿部隆昭社長

株式会社グランパの阿部隆昭社長によると、「地球規模での温暖化、気候変動によって、今世紀中には食糧危機が見舞われるかもしれません」。
「でもこの野菜工場の実証でさまざまな問題点が解決できるでしょう」と意気込みを語る。

 

 

笑顔の初収穫

2月28日、ついに初めてレタスを収穫する日がやってきた。まるまるとみずみずしく成長したレタスが円形水槽外周いっぱいにまで到達した。定植とおなじく収穫も手作業。金属探知機にかけて万一の危険物も取り除かれる。約400個を収穫、近隣のスーパーに出荷した。これから10月まで毎日収穫できる。本来、気候に左右される農作物だが、このシステムでは収穫量も安定しているので、流通面においても画期的と言えよう。

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横浜に誕生した次世代型野菜工場が地球の農業を変革していくかもしれない。可愛らしくユーモラスなドームには頼もしい未来が詰まっている。

【グランパ横浜農場】
横浜市中区本町6-63
最寄り駅;みなとみらい線馬車道駅、JR線桜木町駅
お問い合わせ;045-663-7967
    http://granpa-yokohamafarm.com/
    facebook : http://on.fb.me/1nbPTGw