チョイモビからカヤックまで!街を楽しむ移動手段

Posted : 2014.01.10
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観光地として、そしてビジネスや生活の場として、たくさんの「人」が集まる横浜。さまざまなシーンや目的に合わせて移動するだけでなく、アクティビティとしても楽しめる乗り物が、いま注目を集めている。デイリーユーズが可能な気軽なものから、横浜らしい景観や水辺を体験できるものまで、たっぷりご紹介!

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いつもの移動手段も、街を楽しむ“アクティビティ”に

港の風景や、歴史的な建造物、エリアごとに多彩な表情をみせる都市部の景観……。開港都市として多様な文化を受け入れてきた横浜は、東京から一番近い観光地だ。一方で、林立するオフィスビルにビジネスの拠点が集まっており、生活する居住者も多い。 

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そんなさまざまな人たちが集まる横浜には、移動のための複数の選択肢があるのをご存知だろうか? 充実した移動手段は、都市のポテンシャルを下支えするインフラのひとつだ。ここでは“移動”が単なる“手段”ではなく、街を楽しむ“アクティビティ”にもなることを教えてくれる、横浜ならではの乗り物たちをご紹介しよう。

取り上げるのは、2人乗り自動車を使って公道での運行が始まっている“ワンウェイ型”のシェアシステム「チョイモビ」と、赤い自転車の「ベイバイク」。そして横浜の美しい景観や、水辺といった都市の資源に注目し、“移動体験”そのものを“新しい価値”として提案する「セグウェイ」と「水辺荘の活動」の4つだ。


チョイモビ:スマートな機動力――
横浜の観光シーンで活躍!

2013年10月から、横浜市と株式会社日産自動車が社会実験として運行を始めた「チョイモビ」。車名は「NISSAN New Mobility CONCEPT」だ。100%電気自動車のこの車は、環境にもやさしいこれからの“超小型モビリティ”。運行が始まって3ヶ月あまり、日産自動車株式会社の押野直美さん(ゼロエミッション企画本部・EVビジネスリーダー)にその手ごたえを聞いた。

「チョイモビを利用する人たちの主な目的は、“観光・レジャー”であることが分かってきました。横浜の観光地は、駅から離れている場所が多いんですよね。駅から目的地までのスムーズな移動に、バスや徒歩の代わりとしても使っていただけると思います。」

131010-02-02日産の“スマートモビリティカー”の実践は、横浜以外にも全国各地にどんどん展開しているが、“横浜”を走るチョイモビの魅力はなんだろう? 

「坂道や、細い道が多い横浜では、小回りの利くチョイモビが大活躍します。私の友達にも多いですが、そのような環境だと車の運転が億劫になってしまいペーパードライバーになってしまった人っていらっしゃいますよね。そんな方でもチョイモビなら、また気軽に車に乗ってもらえるきっかけになると思うんです。横浜の街は広くて、普段なかなか足を運べないエリアもあるから、探検するような感覚で楽しんでもらえたら。」

走ってみると、ゴーカート気分で街中をめぐることができるチョイモビ。利用条件は ①日本の自動車運転免許証を持っている ②Eメールを受信できるスマートフォンを持っている ③クレジットカード決済が可能 の3点だ。事前の会員登録を行い、安全講習会を受講するなどの事前準備が必要となる。詳細をwebサイトでチェックしよう!

チョイモビについてはこちらから
http://www.choi-mobi.com/

 

ベイバイク:ビジネスや日常生活で――デイリーユーズのシェアサイクル

観光での利用はもちろん、ビジネスや日常生活の場でも利用されているのがベイバイクだ。2011年4月から2014年3月までの期間、横浜市の社会実験として株式会社NTTドコモがその運営を担うシェアサイクル。利用にあたっての年齢制限はあるものの、ウェブからの利用登録と、PASMOやSuicaなどの交通系ICカードか専用ICカードの登録、あるいは「おサイフ携帯」での登録によって、各サイクルポートに設置されたベイバイクの利用が可能だ。

baybike_s “自転車”の親しみやすさと、無人のサイクルポートで借りられる自動販売機のような気軽さも魅力のベイバイク。使っている人は主に観光客なのかな…と思って聞いてみると、実情はそうでもないらしい。株式会社NTTドコモの武田有紀さん(ライフサポートビジネス推進部)にお話を聞いた。 

「利用者は主に20代~50代、男女比もほぼ半々です。土日祝と平日の利用頻度もだいたい同じぐらい。平日の利用時間帯はというと、通勤時間帯の朝と夕方に加え、ランチタイムのお昼時なんですね。つまりサラリーマンやOLの方の日常的な移動手段として使われるケースが多いんです。ビジネスパーソンが出入りするオフィスビルと、観光エリアが近い横浜ならではの使われ方ですね。」 

レンタサイクルといえば観光での使用を思い浮かべるが、ワンウェイ型のベイバイクなら日常生活のシーンでも活用できてしまうわけだ。これも「ハレの場」と「ケの場」が地続きにある横浜の面白さのひとつ。ベイバイクで潮風をきって走り、フレッシュな空気を吸い込んでみては?

 ベイバイクについてはこちらから
http://docomo-cycle.jp/yokohama/


セグウェイ:知覚を変える――スロウモビリティの挑戦 

欧米では、空港の職員や観光地でのガイドスタッフ、街中での警察官のパトロールなど、さまざまな形で実用化されているセグウェイ。日本各地でもツアーが実施されているのをご存知だろうか? 日本でセグウェイの普及に尽力しているのが、横浜のクリエーター拠点・万国橋SOKOに事務所を持つセグウェイジャパン株式会社だ。ここ横浜では、八景島での実証実験が2013年11月から始まっている。セグウェイジャパンの秋元大さん(取締役/マーケティング部部長)に、その魅力を聞いた。

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「セグウェイは、簡単な体重移動だけで、歩いている人とコミュニケーションを取りながら移動ができる。交通の歴史の中でいうと“馬”に近いんです。そういった意味では進化の逆を行っているのかもしれませんが、セグウェイに乗ることで起こるひとつの変化は、人の知覚に余裕を生むことなんです。普通に歩いていたら見過ごしているものが見えてきたり、路上で人とのコミュニケーションが生まれたりする。普段、路上で突然見知らぬ人と話し始めるということは、何かきっかけがないと考えにくいですよね。スロウモビリティのセグウェイは、まったく新しい感覚で街中の移動を体験できる。例えばパソコンにおけるマウスと同じで、“身体の拡張”という言い方をするんですが、移動する時に自分の意思が伝わって動く“ガジェット”として捉えてもらえたら。横浜の湾岸エリアのセグウェイツアーを実現できたら、きっと大人気のツアーになるでしょうね。」

セグウェイに乗った人は、数秒で誰もが笑顔になるという。そんなセグウェイと人の出会いを生み出す自らの仕事を、「今の社会にはない新しい価値を生み出す仕事」だと秋元さんは語ってくれた。湾岸エリアでセグウェイツアーが実現する日を、心待ちにしたい。

 ツアー実施のご案内、セグウェイジャパンについてはこちらから
http://www.segway-japan.net/index.html


水辺荘:横浜の水辺をひらく――新たな都市感覚の発見 

開港都市として栄えた横浜は、都市に近い場所に港や河川がたくさんある。このエリア性に着目し、水辺を活用したプログラムを運営しているのが、黄金町に拠点を構える「水辺荘」だ。主に週末・祝日に、カヤックやE-BOAT(10人乗りの大型カヌー)による都市部の河川クルーズをはじめ、SUP(=Stand up paddle board、一枚のボードと一本のパドルで水面を漕いで進むアクティビティ)でのアートイベントへの参加など、さまざまなプログラムを実施している。

横浜ならではの水辺を活用したアートプログラムは、大岡川アートプロジェクトや、スマートイルミネーション等のイベント時にも注目を集めた。しかし水辺荘の活動は、将来的には交通インフラとしての水面利用の可能性も見据えた、継続的な活動だ。中心メンバーのひとりである山崎博史さんは語る。

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「交通インフラとしての水面利用は理想ですが、乗降地を増やすことや、運行に見合った収益をどう確保するかなど、さまざまな面でクリアしなければならない問題点があると思います。実用化には時間がかかる。そのためにも、まずは休日の娯楽として参加できる、水辺を楽しむプログラムを充実させています。“水面”というレイヤーから横浜を体験すると、今までとは違った新しい都市感覚を発見できるんですよ。この感覚にもっと多くの人に出会ってもらうこと。例えばBankARTとか象の鼻テラスのあたりから黄金町エリアまで、陸上で歩いて移動するにはすごく時間がかかるけど、川の上なら驚くほどスムーズに移動ができてしまうんです。」

開港都市として発展した横浜の“ブランディング”という視点からも、水辺ライフを提案し続ける水辺荘。今後の彼らの活動からも、目が離せない。

水辺荘の活動についてはこちら
http://mizube.so/