大盛況のうちに幕を閉じた「関内外OPEN!5」

Posted : 2013.11.08
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11月1・2日に開かれた街の文化祭「関内外OPEN!5」。アートを通した街づくりを進める横浜には、たくさんのアーティストやクリエーターが集まっている。そんな彼らの活動を紹介するイベントだ。5回目となる今年、過去最大200組のアーティストやクリエーターが参加し、来場者も増え、大きな盛り上がりをみせた。

「関内外OPEN!5」の概要はコチラtop

ACYは、「文化芸術創造都市・横浜」をめざして、都市臨海部の空き物件にアーティストやクリエーターを誘致し、地域に活力を与えるプロジェクトを展開してきた。もともと横浜を拠点にしていた人も、ネットワークが広がって集まってきた人も大勢いる。「関内外OPEN!」は、そんな刺激的でクリエイティブな環境が横浜にあることを知る絶好の機会だ。期間中にはオープンスタジオをはじめ、クリエーターたちのプレゼン大会や、スタジオ見学ツアー、展示やイベントなどがあちらこちらで開催された。今回は、その中から関内駅・吉田町コースのツアーと、プレゼン大会「デザインピッチ」の様子をご報告しよう。


ツアーのスタートは、建築とアートのライブラリーカフェ
「Archiship Library&Cafe/飯田善彦建築工房」

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まず訪れたのが、吉田町の「Archiship Library&Cafe/飯田善彦建築工房」。壁を埋めつくすたくさんの本と木のぬくもりに包まれた、落ち着ける空間だ。建築家の飯田さんが資料として集めてきた本を、自分たちだけではなくみんなに解放したいと、昨年4月にオープン。ツアー中は「アート+骨董マーケット」が開かれ、たくさんの人が訪れていた。ツアー参加者は2階の建築事務所を見学したり、本や骨董品を手に取ったりと、その空間を楽しんでいた。

 

昭和5年に建てられた「都南(となん)ビル」
今は、“つくる”が生まれる仕事場に

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カサイアーキテクチュラルデザイン

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後藤武建築設計事務所


続いて、建築家などが多く入居する都南ビルへ。建築模型や大量の資料が置かれた中で、それぞれ手がけてきた事例などを説明してくれた。入居理由はいろいろだが「古くて歴史あるビルに入りたかった」と語ってくれたのが、後藤武建築設計事務所の佐藤さん。吉田町通りは横浜の歴史ある通りで、古いものが残っており、それが魅力だという。だからこそ、古いものの価値を尊ぶ建築・まちづくり関係の人が多く入居しているのでは?とも。ツアー参加者もリノベーションについて質問したり、室内を撮影したりと興味深々!

 

店内にはテーブルが1つだけ。ひと味違う空間
「Cafe&Dining  SAKAE」

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次に訪れた「Cafe&Dining SAKAE」は、横に長いテーブルがひとつだけ置かれ、友人宅に来たかのようなくつろいだ雰囲気。ここはフードプロデューサーであり、Webデザイナーでもある小松由和さんがプロデュースし、自らオーナーシェフとして料理とお酒をふるまってくれるお店だ。神奈川産の野菜を使うという素材へのこだわりや、お客さま同士の自然なコミュニケーションが生まれるような空間コンセプトについて話してくれた。ツアー参加者も「ここでランチを取りたかったです…(笑)」と後でこっそり教えてくれた。

ほかにも、映像制作事務所やアーティストが自主運営するスタジオなどを訪れた、関内駅・吉田町コースのツアー。
参加者はどう感じたのだろう?

<ツアー参加者の声>


「最近、築40年の古いビルを受け継いだので、活用法の参考にしたいと思って、リノベーションされた古ビルが多く集まる関内・吉田町コースを選びました。Archiship Library&Cafe/飯田善彦建築工房のような利用方法も気になりますね。」
(35歳男性、横浜在住、ビルオーナー)


「いつもは関西で仕事をしているのですが、東京出張にあわせて参加しました。もともと映像やデザイン、建築に興味があり、なにかのヒントになればと思って。」(28歳男性、大阪在住、インダストリアルデザイナー)


 

たくさんの刺激とエネルギーを貰った、
クリエーターのプレゼン大会「デザインピッチ」

ツアーのあとは、「デザインピッチ」に潜入! さまざまな分野のクリエーターが「あなたは今、どこへ向かっていますか?」というテーマについて制限時間10分でプレゼンテーションする。参加した10人それぞれがどのように活動してきて、これからどうしていきたいのか、事例を挙げながら語ってくれた

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秋元大/セグウェイジャパン株式会社

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栗栖良依/スローレーベル ディレクター


個性豊かなプレゼンターたちが好きなことへひたすら走っていく、その溢れんばかりの情熱で、聴く側に大きな刺激を与えたプレゼン大会となった。誰もが自信をもって、前を向き、好きなこと以外には無駄な時間を割いてこなかった、そんな印象を受ける。刺激を与えるとともに、聴く側に自分の人生を考えさせ、そして明日へのパワーを注ぐ、情熱と笑いと感嘆に満ちたプレゼン大会は、熱気ムンムン、拍手喝采のなか終了を迎えた。
※プレゼンターはこちら


フィナーレは「関内外交流会」!
創造界隈クリエーターがジャンルを超えてつながった夜party今回の「関内外交流会」は初めてYCCで開催され、約150人ものアーティストやクリエーター、一般の方々が集まった。若手クリエーターたちは、自分にとって雲の上のような存在だったベテランの方々と交流する機会となり、共通の知人を介して紹介し合う場面もよく目にした。そんな風に人と人がつながっていく会場の様子は、ジャンルを超えてクリエイティブなネットワークが広がっていく、横浜創造界隈の縮図のようだった。


大盛況のなか幕を閉じた「関内外OPEN!5」。アーティスト、建築家、カメラマン、デザイナー、スタイリスト…多ジャンルのアーティストやクリエーターが横浜にたくさんいることを実感した2日間だった。なぜ彼らは横浜を選んだのか? 方々から聞こえてくるのは「近い距離でたくさんのアート・クリエイティブ関係者に出会えるから。ジャンルを超えて刺激を得られるから」。そんなコミュニティが広がる横浜から、アートやデザインが日々生まれ発信されている。ワクワクするような街の色をみせる横浜。今回参加できなかった人も、定期的にオープンしているスタジオやカフェなどにぜひ遊びに来てほしい。有名な観光スポットに加えて、横浜の新しい魅力を発見してみては?