2020年そしてその先に向けて展開されるオールジャパンの文化プログラム「beyond2020」のロゴが決定

Posted : 2017.02.03
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東京2020オリンピック・パラリンピックにあわせて展開される文化プログラム「beyond2020」のロゴマークが1月27日に決定した。公募から選ばれたのは、横浜で学ぶ美大生の菅原みこさんだ。
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Photo by OONO Ryusuke

 

「beyond2020」プログラムのロゴとは

東京2020オリンピック・パラリンピックまで約3年半となった。スポーツの祭典で日本中が盛り上がる中、日本文化の魅力を発信して共生社会と国際化を実現しようという大きなプログラムが始動する。それが「beyond2020プログラム」だ。2020年以降を見据え、日本の強みである地域性豊かで多様性に富んだ文化を活かし、成熟社会にふさわしい次世代に誇れるレガシーの創出に資する文化プログラムを認証し、ロゴマークを付与するというもの。その象徴となるロゴマークが決定した。

内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局からのロゴマークの公募が始まったのは2016年8月。公募の対象は、日本国内の56の芸術系大学の連携組織である「全国芸術系大学コンソーシアム」に参加する大学の学生(大学院生含む)だった。11月には3点の最終候補作品がWEBで発表され意見募集が行われた。そして1月27日に、横浜美術大学3年・菅原 みこさんの作品が最優秀作品として採用された。

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beyond2020プログラム ロゴマーク表彰式の様子(撮影;横浜美術大学)

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beyond2020プログラム ロゴマーク表彰式の様子(撮影;横浜美術大学)

 

菅原みこさんの喜びのコメント;

「いいね」や「グッド」のように、国籍、性別、年齢など様々な壁を越えて、多くの人に前向きなイメージを与えたいと思いデザインしました。
「beyond2020」の活動が大きく広がるように、活動的、活発なイメージと、日本らしさも兼ね備えた明るい未来を作っていくという意味で、朱色を使用しました。
このような名誉なロゴマークに選ばれ、大変感激しています。日頃のグラフィックデザインやブランディングの学習成果を発揮する機会に恵まれ、感謝の言葉しかありません。このロゴマークが社会へと広がり、多くの人に前向きなメッセージを与えられたらと思います!

 

丸川珠代 東京オリンピック・パラリンピック担当大臣 挨拶より;

とっても躍動感があって、なおかつあたたかみもあって、みんなの心になごむ日本の「わ」にも通じるマークを作っていただきまして、本当にありがとうございました。 
東京オリンピック、パラリンピックを文化でも盛り上げていく、日本全国でこのマークがみられるような展開をしていきたいと思っています。 
オリンピック、パラリンピックの先に私たちは何を残そうということを共有してくれるマークの存在感をみんなで作っていけたらいいなと思います。

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菅原みこさん Photo by OONO Ryusuke

 

菅原みこさんに聞く

2月1日、横浜市青葉区にある横浜美術大学で、菅原さんの最優秀賞受賞報告会が開催された。同大学のビジュアルコミュニケーションデザインコース3年に在籍する菅原さんに、デザインに込めた思いやこれからのデザイナーとしての抱負について聞いた。

——ロゴデザインの発想はどこから?

「beyond2020」プログラムの認定要件のなかの“国際化”、“多言語対応”に関して、自分の外国人とのコミュニケーションでの苦労を思い出したことが発端です。森美術館で展覧会の展示案内のアルバイトをしているのですが、六本木という土地柄もあって外国人の来館者も多く、外国語の苦手な私は説明に苦労した経験がありました。そんなとき世界共通の楽しさを表わすジェスチャーである「サムズアップ」(親指を立てて「いいね!」「グッド!」を伝える)の形をロゴにしてはどうかと思いつきました。

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Photo by OONO Ryusuke

 

——デザインの過程で苦労したのはどんなところ?

マークとしてどうシンボライズするか、誰もが共感するような勢いのある形を探るのに時間がかかりました。ようやく、ジェスチャーの形に「beyond」の「b」を掛け合わせた形を見つけて、これで行こう、と思えました。そこまでに1カ月半かかり、そこからは2週間ほどで仕上げました。

——デザインの勉強はいつから?

美大受験を考えるようになった高3からです。小学生のころから絵が好きでよく描いていました。漫画やアニメはずっと好きでしたが、美大に行こうと思った時にはデザインを専攻したいと考えていました。横浜美術大学では1年生で幅広く基礎を学ぶのですが、2年生で専攻コースを選ぶ際にデザインコースの体験をしてみて、自分にはデザインが向いていると実感しました。その後、数多くの実践的な課題をすることでデザインの面白さがわかってきました。

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菅原みこさんの大学での課題作品 Photo by OONO Ryusuke

 

——デザインの面白さとは?その力とは?

誰もが見てわかる形に落とし込んでいくのが好きですし、あれこれと一生懸命に考えるのが楽しいです。
デザインには、多くの人の心を動かして、商品の売り上げを伸ばすことにも結びつくという大きな力があると思います。

——目標とするのはどんなデザイン?

目標とするデザイナーの方はいません。でも自分の持ち味は、人をあたたかい気持ちにするようなやわらかい感じのイメージづくりにあるように思えてきました。これを追求していくことで、「菅原みこらしい」と言われるようなデザインの個性を持つようになりたいと思っています。

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菅原みこさんの大学での課題作品 Photo by OONO Ryusuke

 

——プロのデザイナーになることへの不安はありますか?

発注してくれる人がいて初めて成り立つお仕事ですよね。でもクライアントの方の気持ちを汲みとりながら、そこにうまく自分のアイデアや意志を盛り込んでいくようにできたらなと考えています。そんなデザインの作業が大好きなんです。

——これからは?

大好きなチョコレートのパッケージデザインができたら幸せです。

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Photo by OONO Ryusuke

 

beyond2020プログラムの申請受付開始

「beyond2020」プログラムの申請受付が開始された。
認証されるには以下の要件を満たしていなければならない。
(beyond2020プログラム ウェブサイトより)


beyond2020プログラム認証要件;

日本文化の魅力を発信するとともに、共生社会、国際化に繋がるレガシーを創出するため、以下を認証要件とします。

◆ 日本文化の魅力を発信する事業・活動
※日本文化とは、伝統的な芸術からクールジャパンとして世界中が注目するコンテンツ、和食などの食文化、祭りや伝統的工芸品など、多様なものを含んでいます。

◆多様性・国際性に配慮した、以下のいずれかを含んだ事業・活動
■障害者にとってのバリアを取り除く取組
■外国人にとっての言語の壁を取り除く取組

公的機関のほか、民間事業者、その他任意団体等幅広い方が実施する事業・活動が認証の対象となり、営利活動、非営利活動に関わらず、文化に関わる幅広い活動を認証します。


 

オリンピック憲章にはオリンピック開催の意義として「スポーツを文化や教育と融合させる」とある。オリンピック・パラリンピックとは「スポーツの祭典」であると同時に「文化芸術の祭典」でもあることになる。2012年ロンドン・オリンピックで展開された「カルチュラル・オリンピアード」は4年間で18万件とも言われるイベント数、総参加者数4300万人を超える文化プログラムが英国全土で繰り広げられ、大成功だったという。

この「beyond2020」プログラムも、菅原さんのロゴデザインに込められた思いが広がり、障害者にとってのバリアや日本を訪れる外国人にとっての言語の壁が取り除かれる「グッド!」な社会の実現につながるように大きく盛り上がっていくことを期待したい。