Director Interview 丸岡ひろみ

Posted : 2015.02.04
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TPAM ディレクターインタビュー

“美術館に展示される前の美術作品”のような舞台芸術が観られます。

創造界隈で毎年開催されている「TPAM 国際舞台芸術ミーティングin横浜」が今年も2月7日(土)からスタート。今年の見どころをうかがいました!


まずはTPAMがどんなイベントなのかということを教えていただけますか?

まずは「国際舞台芸術ミーティング」の”舞台芸術”という言葉の解説を。ジャンルでいうと演劇、ダンス、音楽を含みます。70年代くらいでしょうか、演劇ともダンスともカテゴライズしにくい、互いのジャンルを行ったり来たりするようなものがどんどん生まれてきた頃に、パフォーミングアーツという言葉が使われるようになりました。これを和訳したのが”舞台芸術”という言葉です。たとえば美術作品だと、美術館に展示される前にギャラリーの人が新たな才能や作品を発見をする場所があると思うのですが、言ってみればこのTPAMも、特に海外の参加者には、自分の国の美術館に展示される前の作品が見られるようなイベントなんです。権威に評価を決定づけられる前の新しい才能や新しい試みも数多く集まります。

横浜で開催されるようになって5年目ですが、横浜ならではという部分はありますか?

横浜は舞台芸術に関わっていらっしゃる人材が豊富で、TPAMに関わっている人も次はこうしよう、と前向きに提案してくれて、一緒にTPAMを作るという関係を築けていますね。STスポットという小さな劇場がありますけど、そこから国際的に育っている演劇人やダンスの人がたくさんいるんです。そういうふうに、実は舞台芸術において高水準のポテンシャルを常に発揮し発信している街だと思いますね。

回遊性がいいのもいいですね。個性のある拠点を巡りながら気持ちよくイベントを楽しんでもらえる環境です。

丸岡ひろみ(国際舞台芸術交流センター(PARC)理事長)
【Profile】丸岡 ひろみ
国際舞台芸術交流センター(PARC)理事長。05年よりTPAM(11年より国際舞台芸術ミーティング in 横浜)ディレクター。03年ポストメインストリーム・パフォーミング・アーツ・フェスティバル(PPAF)を創設。08年・11年TPAMにてIETMサテライト・ミーティング開催。12年、サウンドに焦点を当てたフェスティバル「Sound Live Tokyo」を開催、ディレクターを務める。舞台制作者オープンネットワーク(ON-PAM)副理事長
TPAMは1公演の料金が安いのも特徴的ですね。
 

普通の演劇フェスティバルよりも、あえて安く設定しています。欧米と比べて、日本で演劇やダンスを観ると料金が高いなと感じます。たとえば8000円も出して観た舞台がつまらなかったとしても、なんか認めたくないじゃないですか(笑)。あるいは自分の理解が足りなかったのかな、と思ってしまう。さらに、明らかにつまらないと感じたら、その人にとって”舞台芸術そのものがつまらない”という評価になってしまうと思うんです。たとえば1800円の映画だったら、つまらなくても、だからといって映画自体を嫌う訳ではないだろうし、”どうつまらなかったか”を言い合ったりすることも楽しかったりもするでしょ? そんな風に、観た舞台が面白くなかったとしても、なぜ面白いと感じなかったんだろう?って考えることも含めて楽しんでもらえるような料金設定にしたいなと思って安くしています。


 今年は東南アジアを中心としたアジアにフォーカスしています。

今年のおすすめは?

17歳のインドネシアの少年たちがダンスする「Cry Jailolo」は特におすすめ。インドネシアの小さな島の都市ジャイロロに招聘された振付家のエコ・スプリヤントが、地元の子供たち300人と一緒に創った作品です。今回はその中から7人の少年を選抜して上演します。インドネシアの社会問題にもなっているフィッシュ・ボムという漁を扱っているので、決してきれいごとではないんです。それでも生命力に満ち溢れた若者たちが、魚になって1時間ダンスをするのを観ると、誰もがポジティブになってしまいます。学生さんは無料でご覧いただけますので、ぜひお家族で楽しんでいただきたい作品です。

日本に2ヶ月滞在し、横浜や京都など各地でインタビューを行い、それを元に、演劇ともダンスともビジュアルアートとも呼べないジャンルを超越したチャーミングな作品を創ってくれるであろうシャオ・クゥ×ツゥ・ハンも注目していただきたいですね。近い距離で彼らの舞台を観ると、同じ人間同士で同じ世界を生きているということを作品を通して実感していただけるのではないかと思います。(次ページにインタビューあり)

そのほか、芸術的に高く評価されているSCOTという日本演劇界の至宝ともいえる劇団が昨年の夏に25年振りに再演されて大きな話題を呼んだ『トロイアの女』で初参加くださいます。未見の方はこの機会に是非ご覧ください。またタイの伝統舞踊であるコーンを踊りのベースに古代インドの大長編叙事詩ラーマーヤナの戦闘シーンの壁画にヒントを得て世界各地で上演され絶賛を博しているピチェ・クランチェの『Black & White』。彼がフランスのアーティストのジェロームベルとともに10年前に作られ、コンテポラリーダンスの歴史を変えた『ピチェ・クランチェと私』、横浜が生んだコンテポラリーダンス界のゴッド・マザーこと黒沢美香さんが関西の主だったダンサーとともに作る『jazzzzzzzzzzzzz-dance』などなど、今年も充実のラインナップを揃えました。

夜は深夜1時まで営業しているアマゾンバーというオフィシャルバーが登場します。その日の出演者は現れるはずなので、一緒に行ったお友達と感想を言い合いたいならのぞいてみるのも楽しいかもしれませんよ。場所はBankART入口の手前の地下です。

エコ・スプリヤント「Cry Jailolo」

Photo by Pandji VascoDagama

 エコ・スプリヤント「Cry Jailolo」公演詳細はこちら
 SCOT「トロイアの女」
 SCOT「トロイアの女」公演詳細はこちら

TPAMオフィシャルサイトはこちら


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