「BUKATSUDO」で仲間と語り合う「贅沢な読書会」体験

Posted : 2016.03.29
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フリーランスで編集・ライター・マンガ家として活動中のいしだわかこさんがお届けする、街のシェアスペース「BUKATSUDO」体験レポート。 今回は3月13日(日)に行われた「贅沢な読書会 第一回 瀧井朝世×角田光代」の前編です。

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この「贅沢な読書会」は、1冊の本で2回開かれるイベントです。

前編は、モデレーターと参加者同士が、感想を語り合う読書会。

後編では、なんと作者ご本人が登場し、参加者を交えながらトークを繰り広げるそう。

さらに、モデレーターは、数々の雑誌やメディアで、作家インタビューや対談などを担当されている瀧井朝世さん。

その名の通り、なんとも贅沢なこの読書会の、記念すべき第1回に参加させていただきました。

性別も年齢も職業もさまざま。それぞれの立場から読む

第1回目の課題図書は、リアルな人間描写に定評のある角田光代さんの「坂の途中の家」。2016年1月に刊行されたばかりの最新作で、刑事裁判の補充裁判員になった主人公が、法廷で明らかにされていく事件を通して自身の体験と重ねていく心理サスペンスです。

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03参加者は、トータル15名。うち、男性は4名でした。年齢はだいたい20~50代くらい。

職業は、出版関係者、会社員、保育士、フリーランスなど。

この日は、ちょうど横浜マラソンが開催された日でもありました。「マラソンに参加して、一旦家に帰ってから来ました」という強者が2名もいらっしゃいました。
 

みなさんの「参加のきっかけ」は、
 
「本を読むのが好きだから」

「角田さんが好きだから」

「普段ビジネス書ばかり読んでいるので、こういう機会に現代小説を読んでみようと思って」

「他の人に感想を話す機会があれば、もっと楽しく読めると思って」

「酔った勢いで(笑)」

性別、年齢、職業、趣味もバラバラ、参加のきっかけも本当にさまざまな15人。果たして1冊の本をどのように読むのでしょうか。

読書会は、参加者の自己紹介から始まり、瀧井さんによる角田さんのプロフィールや人となりの紹介へ、そして感想会へと流れていきました。

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個人の体験を通した本の解釈を語り合う

実は、私、は角田さんの本をは初めて読みました。

「読書会」というからには、角田光代さんファンが多いのだろう、最新作もあっと言う間に読んだ方ばかりだろう……と恐る恐る参加してみましたが、意外にも「角田さんの作品は、興味はあったけど読んだことがなかった」「角田さんは好きだけど、この本はまだ途中までしか読んでいません」という方もちらほら。

こういうイベントにも、「BUKATSUDO」の自由な雰囲気が現れています。

05主人公に感情移入をして自分の悩みに置き換えてみる人、印象的なシーンを語る人、主人公の気持ちへの疑問点をぶつける人……など、みなさん、それぞれの立場から思い思いの感想を巡らせていきました。

「主人公が昔の自分とそっくり。自分の嫌なところを見せつけられているみたい」

「角田さんの小説は、忘れていた心象風景がひっぱり出されるんですよね」

 
「僕は未婚だけど、結婚したらこういう風になっちゃうのかな」

「いやいや、たぶん家庭環境によるよ」

 
「わたしは、この人はそんなに嫌な人には思えなくて…。むしろ自然な反応だと思うんです」

「ですね。“悪い人”を書こうとしたんじゃなくて、2人の関係性を書こうとしているんじゃないかな、と感じました」

 
「最後ね、この後どうやって暮らしていくのかと考えると……」
「ああ、そうそうそう!!」「私もそう思いました!!」
などなど、様々な感想が語られ、それに対して意見が述べられます。

06語ったり、トークに出てきたシーンを読み返したり。

登場人物を掘り下げていくにつれ、だんだんみなさんの意見も活発になり、場が白熱していきました。

 
アンケートを書いている時間も、「あ、思い出した! あのシーンが怖かった!」「そうでしたね!私も怖かった!」、「あの登場人物のお父さんはどういう人だったのかなあ、と考えちゃって」「ああ、確かに」……連想ゲームのように、次々に読んだときの気持ちがよみがえります。

休憩する間もなく、あっという間に過ぎた2時間でした。

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1冊の本を通して、人と触れ合う

以前、小説家・北村薫先生の著書の中にあった「“どう書くか”も表現なら、“どう読むか”も表現のひとつ」という一文を読み、膝を打ったことがあります。

そう、「読書」はひとつの自己表現。1冊の本を通して、自分の知識や経験と重ね合わせ、自分の思いを形づくっていきます。

さらに、同じ本を読んだ仲間たちと触れ合いながら語り合うことで、読書の世界が大きく広がっていくでしょう。

思っていた以上に豊かで濃密な時間を過ごすことができた、本当に「贅沢な読書会」体験でした。

Photo:文藝春秋

瀧井朝世さん。Photo:文藝春秋

【モデレーター・瀧井朝世さんから】
「こういった読書会は初めて参加しましたが、みなさん積極的に感想を述べてくださって、そのたびに同意したり『そういう読み方もあるのか!』と感心したり。とても面白い体験ができました。次回はいよいよ角田さんをお迎えする回。作者に対してどういう意見が出てくるのか、今から楽しみです」

【BUKATSUDO コンテンツプランナー・木村綾子さんから】
「以前行われたBUKATSUDOイベントの際に、参加者から『文芸のイベントは東京開催が多い』という声を聞きました。そこで、横浜でもこういった読書の会ができないかと考え、どうせなら作家さんと交流ができる場だったら面白いのではないかと思い、企画しました。『サイン会や講演会などで一方的に語るのではなく、読者の生の声を聞くことができるイベントはなかなかないから、こういう機会はとても嬉しい』と言ってくれる作家さんもいて、今後も非常に盛り上がると思います。読書を通して仲間を増やす機会でもあるので、興味のある方はぜひ足を運んでみてくださいね」

【贅沢な読書会】
《受講料》
■全2回 5,400円(税込)
※2日セットでの講座です。どちらか1日程のみのチケット販売はしていません。
《次回以降も受付中!》
第二回 4/10(日)・24(日) 課題図書:長嶋有「問いのない答え」(文藝春秋)
第三回 5/8(日)・22(日) 課題図書:柴崎友香「パノララ」(講談社)
※どの日程も、17:00〜19:00

今の段階で決まっているのは第三回までですが、これ以降も企画されているそう。
詳しくは「BUKATSUDO」イベントページ(http://bukatsu-do.jp/?page_id=6)にて。


icon【案内人プロフィール】
いしだわかこ(Wakako ISHIDA)
少女マンガ家、編集者を経て、現在フリーランスで編集・ライター・マンガ家として活動中。実用書・ビジネス書などの書籍や雑誌編集、WEBコンテンツ制作、横浜市の情報小冊子にマンガを描いたりなど。ゆるめITベンチャーから女性誌、官公庁広報誌まで雑食気味。誕生は藤沢、生後2ヶ月から横浜育ち・横浜在住。仕事場は横浜と鎌倉。