まちかどの逸品 中華料理器具店「照宝」のせいろ

Posted : 2013.10.25
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全国のプロ料理人御用達のお店「照宝」。料理道具といえば、合羽橋を思い浮かべる方も多いはず。そんな方にぜひお教えしたいのが、このお店。中華鍋やせいろ、包丁など、自社ブランド商品を製造・販売し、中華街で根を張り続ける横浜の老舗だ。今回は照宝ブランドの代名詞、せいろをご紹介したい。

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巷でささやかれる、“憧れ照宝のせいろ”

中華街の大通りを歩いていくと、なにやら賑やかなお店が見えてくる。大小さまざまなせいろが積まれた軒先の奥には、これでもかという中華料理道具が並べられた店内が続く。出入りするのは日本人観光客に欧米人、そして中国人。いろんな人やモノがごった返し、不思議な魅力を放っている。それが照宝だ。

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もともと仕入販売専門の金物屋だったという照宝は、中華街がまだ行きかう人も少ないジャリの通りだった昭和19年にオープンした。当時、映画館やナイトクラブなども立ち並び、中国系コミュニティーとしてのみ存在していた中華街が、その後、観光地として発展していくなかで、中華料理用の器具や食器の専門店になっていったそう。今では全国のプロ料理人が買い付けにくるだけでなく、一般客も自宅用に買っていくほど。そして、その中でも一番の人気商品が自社ブランドのせいろである。

トリミング済

撮影協力:福臨閣

 

中華街を歩いてみると、そこかしこのお店で「照宝」と刻印されたせいろを発見する。照宝ブランドを選ぶ理由は、“長持ちする質の高さ”だと料理人たちは言う。取っ手のほつれや留め金の修理など、期限なしのメンテナンスに加え、買うときにはきちんとした使い方のアドバイスもしてくれる。せいろは水洗いNGだったなんて、ご存知だろうか? 蒸気の湿気はすぐに乾くうえに、100℃の熱で殺菌もされるが、直接水を注いでしまうと木に水がしみ込んでしまい変形してしまう。油やシウマイの皮などがついてしまったときは、濡れ布巾で拭いておけばOKなんだそう! 正直、目からウロコだ。そんな長持ちさせるコツもしっかり伝授してくれることが、照宝ブランドの信用をつくってきた。さらに、種類の多さもピカイチだ。直径10cmから60cmのものまで、せいろだけでも1万点以上あるうえに、鍋がセットになったものや木材によっても分かれており、お客さんは予算にあわせて選ぶことができる。

ほかにも、中華鍋や火鍋、多彩なレンゲに餃子用ターナーなど、よその金物屋では見つけにくいものがたくさんあり、見ていて飽きない。店内は常にお客さんでいっぱいだ。巷で“憧れの照宝”とささやかれるだけあって、最近ではプロの料理人よりも一般客や電話注文の方が多いとか。中華街で根を張り続ける横浜ブランド。一度、試してみてはいかがだろうか。照宝の向かいにある崎陽軒で真空パックのシウマイを購入し、照宝のせいろで蒸して自宅で食す。垂涎ものである。


<店舗情報>
照宝
せいろ 1個320円~(直径10cm)
営業時間:11:00~21:00 (無休)
℡:045-681-0234/Fax:045-651-3738
住所:神奈川県横浜市中区山下町150番地(中華街大通り)