“関内外OPEN!6”ドキュメント10.19

Posted : 2014.11.07
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“関内外OPEN!6”ドキュメント10.19

“アートを身近に感じる一日”を、たっぷり楽しんできました!

 

毎年この時期恒例のイベント「関内外OPEN!」が今年も10月17日~19日に開催されました。関内外エリアに拠点をもつアーティストやクリエーターのスタジオ探訪、ワークショップやマーケットなどスタジオ主催のイベントなど、活躍中のアーティスト&クリエーターと触れ合える貴重な機会。そこで今回は、そんな「関内外OPEN!6」を一日たっぷり楽しんできた模様をレポートします!


【AM 11:00 ポートフォリオ展示】

「さて、どこを回ろうか」と迷ったら、まずはココ! ヨコハマ創造都市センター1FのYCCカフェにある、「ポートフォリオ展示」に立ち寄りましょう。「関内外OPEN!6」に参加するアーティスト&クリエーターの作品が、ファイルに収められている場所です。
今回の「関内外OPEN!6」で探訪できるスタジオは約40カ所で、各スタジオで開かれるイベントもさまざま。一日では回りきれない規模です。お目当てのアーティスト&クリエーターのスタジオを効率良く回るために、地図にマーキングをしてから、「いざ、出発!」。

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ヨコハマ創造都市センターを象徴する、重厚な石造りのエントランスをくぐると、YCCカフェがありました。

 

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YCCカフェを入ってすぐのところに、「関内外OPEN!6」参加アーティスト&クリエーターの作品が、
映像や建築などカテゴリー別に色分けされたファイルで紹介されていました。

 

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ファイルには、各スタジオの作品や情報が、詳しく掲載されています。

 


【PM 12:00 アート+骨董マーケット

YCCカフェから馬車道を歩いて、吉田町にある「Archishop Library&Cafe(アーキシップ ライブラリーアンドカフェ)」に到着しました。気になっていた「アート+骨董マーケット」を、早速チェックです。マーケットと聞くと、「掘り出し物が見つかるかも…」と、ワクワクしてしまいます。
出店していたのは、「NO CONCEPT」「dubhe」「アトリエ ah!」「UND」「Gallery Mercator」「古道具 逢花」「NDC Graphics」「形象堂」「たけうま書房」の9組。アート、骨董と聞くと、それなりのお値段を想像して尻込みしそうですが、店内に並ぶ品々は、雑貨が1,000円程度からと、意外とリーズナブルなお値段でした。「眺めるだけではなく、大切に使っていきたい」という、いとおしさを感じさせてくれる“モノ”に出会えそうです。

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「会場はここかな…」と、店の外からチラチラと中をうかがっていると、
「いらっしゃいませ、2Fでお茶もどうぞ!」とスタッフの方が声を掛けてくれました。

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 普段はブックカフェとなっている1Fに並ぶ本は、飯田善彦建築工房の資料として集められたもの。
今日はそのスペースで「アート+骨董マーケット」が開かれていました。

 

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マーケットに並ぶのは、小さな雑貨類が中心。
比較的リーズナブルな値段で、買いやすいものがそろえられていました。
じっくり時間を掛けて、ひとつひとつ吟味したい“モノ”たちです。


【PM 1:00 オリジナル小物入れを作ろう!コラージュワークショップ

「Archiship Library&Cafe(アーキシップ ライブラリーアンドカフェ)」の2Fでは、紙箱に海外の古い雑誌をコラージュして、オリジナル小物を作るワークショップが開催されていました。「アンティークを眺めるものとしてではなく、使って身近に感じて欲しい」と、このワークショップが企画されたそうです。
古書店から持ち寄られたという古雑誌は、見るからに貴重そうなものばかり。日に焼けた紙や、色あせた印刷の色は、時を経た古雑誌ならではの風合いです。展示用の古雑誌かと思いきや、なんと、これが今日のコラージュ用の素材。「好きなだけ切り貼りしてね」と、惜しげもなく提供されていました。
ワークショップには、「体育より工作が大好き!」という、小学2年生の男の子も参加していました。年季の入った古雑誌から、飛行機やイチゴの柄をハサミで切り取って、星の形の箱に、熱心に貼り付ける姿が、なんともほほ笑ましい光景でした。アートは、大人だけのものではないのですね。

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好きな形の箱を選び、海外の古い雑誌から切り取った柄をコラージュして、
小物入れを作るワークショップです。ただ切り貼りするだけで、アートな作品に。

 

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新品の雑誌にはない、古雑誌の風合い。
二度と印刷されることはない古雑誌が、コラージュ素材として惜しげもなく提供されました。

 

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創作意欲満々だった参加者の男の子。
貴重な古雑誌もザクザク切り刻んで、箱にどんどん貼り付けていきます。

 


【PM 2:30 みんなのまちをつくろう!

北仲通にある松島ビル4Fは、(株)コンテンポラリーズ(有)天野和俊デザイン事務所、パブリックハウス(合)、(有)ケイティアーキテクチャーの4つの会社が、ひとつのフロアに入居するスタジオです。普段は会議や模型作りをする共有スペースのテーブルで、今日は4つの会社が共同で開催する、キッズワークショップ「みんなのまちをつくろう!」が催されていました。
まちづくりの素材として用意された、小さないすやテーブル、草木は、仕事で作った模型を解体した際の、再利用品だそう。訪れた時間帯に建物を作っていた高校生と小学生は、本物の素材を慎重に貼り付けながら、ちょっとしたお仕事体験も楽しんでいたようです。完成した建物は、中央に馬車道を配した台紙の、好きな場所に配置します。思い思いのデコレーションを施した模型の建物は、どれも個性的。みんなが作った建物が集まって、ひとつの“まち”が作られていく様子に、未来の馬車道を感じました。

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用意された小さないすやテーブル、草木は、仕事の模型作りでも使う素材。
建築家さんは、こんな素材を使ってお仕事をされているんですね。

 

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手にした箱をくるくると回しながら、イメージを膨らませ、
壁や屋根に紙を貼ったりペンで色づけしたりして、思い思いのデコレーションを施します。

 

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完成した建物は、台紙の好きな場所に配置して、街路樹やベンチを置いて仕上げます。
「こんな街になったらいいな」というみんなの夢が、立体的に表現されていました。

 


【PM 3:30 スタジオ見学ツアー 若葉町コース

普段はなかなか立ち入れないお仕事スペースを見学できるのが、「関内外OPEN!6」の魅力。たくさんのスタジオをひとつひとつ巡ることもできますが、ガイドさんと一緒に巡る「スタジオ見学ツアー」もオススメです。6コースの中から、今日は、「若葉町コース」に参加しました。にぎやかな商店街「イセザキモール」の西にある若葉町には、築50年を越える古い建物も残ります。それらをリノベーションしたオフィスやスタジオを巡るツアーです。
ガイドさんは、横浜をよく知る地元のボランティアの方。スタジオ間の移動中も、横浜や周辺のお話を聞きながらの、楽しい散策となりました。戦後まもなくのこのあたりには、「若葉空港」があり、末吉町から長者町にかけて走る滑走路から、進駐軍の小型飛行機が飛び立っていたそうです。今はその面影もなく、歓楽街へと変貌しています。急激に姿を変えた若葉町に残る古い建物が、今はどんなスタジオに生まれ変わっているのでしょうか。

 

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ツアーの集合場所となったのは、“似て非なる”が名称の由来の「nitehi works(ニテヒ ワークス)」前。
築45年の旧金融機関をリノベーションしたスタジオです。1Fはカフェが併設された展示スペース、2F~4Fはアーティストの展示スペースやクリエーターのオフィスが入っていました。

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nitehi worksの1Fエントランス。展示スペースとしても活用されていました。
奥にはカフェカウンターも設置されています。

 

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旧金融機関の重厚な扉も、そのまま利用。奥は映写スペースとして生かされていました。
扉が閉まったら、内側から開けることができるのか、余計な心配をしてしまうほど重い扉です。

 

シネマ・ジャック&ベティ
「シネマ・ジャック&ベティ」は、1952年にオープンした「横浜名画座」を引き継ぎ、1991年にオープンました。途中、2005年に閉館するものの、2007年に再び復活。ふたつあるシアターそれぞれが、名画の「ジャック」、新作の「ベティ」と名付けられ、スタッフ選りすぐりの名画が上映されています。
歓楽街にある入り口を入ると、どことなく昭和の雰囲気が漂い、懐かしい気持ちになります。昔、大人に連れて行ってもらった、街の映画館を思い出す方も多いのではないでしょうか。上映する映画も、シネコンではあまりお目にかかれないようなタイトルばかり。いつの間にか変わってしまう街の中で、懐かしい場所が、新たな形で残されていることに、感激しました。

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昭和生まれには懐かしい、歓楽街に入り口のある映画館。
シネコンでは上映されないような、新旧の名画を楽しむことができます。

 

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赤いシートのシアターは138の座席数を有する「ベティ」。
新作ロードショーを上映しています。非日常を感じる館内です。

 

旧劇場
実は、スタジオ見学ツアーでひそかに楽しみにしていたのが、この「旧劇場」です。なんと、元はストリップ劇場。去年閉館して空き家となりましたが、その前の年までは、実際にストリップ場として営業していました。1Fはステージと観客席、2Fには踊り子さんの楽屋や、スタッフが寝泊まりする場所があったそうです。
1Fはステージも取り払われ、大きな1フロアとなっていました。劇場と聞いていましたが、想像していたよりはこぢんまりとした空間で、奥の大きな鏡張りと、天井に残るカーテンレールがステージの名残です。
今は1Fが木工のアトリエとなり、高い天井を生かして長い材木が並べられていました。
かつてのステージわきにある、楽屋へと続く細い階段を上がった2Fは、今は7組9人のアーティスト&クリエーターが共有する、オフィス兼アトリエスペースになっていました。今年4月から入居を始め、アーティスト&クリエーターそれぞれの得意分野を生かしながら、少しずつリノベーションしてきたそうです。室内は空調設備もなく、夏は猛烈な暑さだったとか。リノベーションはまだまだ途中。これから寒さの厳しくなる冬に向けて、どう乗り切るかが最大の課題のようです。

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奥の鏡のある場所が、ステージだったところ。
振り返ると、天井には幕をつるすカーテンレールが、残されていました。

 

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今はオフィスとなっている2F奥の壁には、踊り子さんへの注意書きがそのまま残されており、
映画のセットのようでした。

 

◆カモメサウンドワークス
歓楽街から少し入った末吉町には、「カモメサウンドワークス」がありました。バーやレストラン、クラブやライブハウスなどの音響ブランニングと、オーダーメイドのスピーカーを手がけるスタジオです。元は運送会社だった、1Fが店舗とガレージ、2Fが住居スペースという、商店街の空き家にありがちな造りの物件を、スタジオとしてリノベーションしました。
近所には、古い商店や事務所も並びます。音を出す仕事ということで、入居当初は、コミュニティになじめるか不安もあったそうですが、気さくに声を掛けてくださる方たちばかりでほっとしたそう。今では地域の人ともなじんで、創作活動や音楽イベントの開催に力を注いでいるとのことでした。

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運送会社の店舗部分だった場所は、そのままオフィスに利用。
2Fには、元運送会社の看板が、そのまま残っていました。

 

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元運送会社のガレージは、オーダーメイドスピーカーの工房兼展示スペースになっていました。
壁には木材切り出しの際に出た廃材を貼り付けています。

 


【PM 7:00 ’KANNAIGAI’ PARTY

「関内外OPEN!6」のフィナーレを飾るのは、ヨコハマ創造都市センターが主催する、「‘KANNAIGAI’PARTY」です。「関内外OPEN!6」に参加したアーティストやクリエーターが集結するという、なんとも華やかなパーティー! 市民との交流を目的としており、一般の人も、事前予約なしに入場料1,000円で参加して、飲み物や料理を楽しみつつ、語らうことができます。アーティストやクリエーターのエネルギーを、身近に感じるチャンスです。
会場は、「ポートフォリオ展示」をしていたヨコハマ創造都市センター1FのYCCカフェ。レイアウトを変え、夜は華やかなパーティー会場となっていました。ヨコハマ創造都市センター長のあいさつのあと、シャンパンで乾杯! スタジオ見学やイベントで見かけたアーティストやクリエーターと語らいながら、パーティーはますます盛り上がっていきました。秋らしくコーディネイトされたテーブルを囲み、まだまだ終らない「関内外OPEN!6」の夜は更けていきます。

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スクリーンでは、アーティスト&クリエーターのプレゼンテーションや、
今回のイベントの様子が上映されていました。

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「ポートフォリオ展示」をしていたヨコハマ創造都市センター1FのYCCカフェがレイアウトを変え、
夜は一転、パーティー会場に。

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秋らしくコーディネイトされたテーブルに盛りつけられた料理。
ハロウィンをイメージさせる、楽しいテーブルです。


…というわけで、一日で6つの催しをたっぷり楽しみました!
作品やお仕事はどこかで目にしていても、それを創った方々にお会いしたり制作現場が見られたりする機会はそうそうないので、とてもエキサイティングな体験でした。
そして横浜がクリエイティブシティであることも実感。また来年も行こうと思います!