サポートアーティスト*：創作のための稽古場を急な坂スタジオがサポートしているアーティスト
(c)Takaki Sudo
もうひとつの風景に出会う旅『歩行と移動』
急な坂スタジオ ロビーでの展示の様子。
女の子たちの他愛のないおしゃべりと、ひとりごと――。ありふれた日常のワンシーンなのに、会話やモノローグの端々が印象に残る映像が、急な坂スタジオのロビーで上映されていた。この秋、横浜市内5ヶ所で展開している「急な坂スタジオ×マームとジプシー」による映像インスタレーション作品『歩行と移動』の1作だ。
「寺」「港」「坂」「駅」「川」をモチーフとした作品の展示会場には、帆船日本丸・横浜みなと博物館や象の鼻テラス、曹洞宗大本山總持寺などが名を連ねる。今回の企画の見どころを、急な坂スタジオ ディレクターの加藤弓奈さんに聞いた。
加藤弓奈さん（急な坂スタジオ ディレクター）
「横浜市内の5つの場所で映像の撮影を行い、映像の展示会場から撮影した場所が見えることにこだわっています。お客さんが映像を見ると『ここ歩いてきたところかな』と気付いてもらえるのではないかと思います。日常や風景を切り取る別の視点を感じていただけたら。」（加藤弓奈／急な坂スタジオ ディレクター）
劇団「マームとジプシー」主宰の藤田貴大さんは、26歳で岸田國士戯曲賞を受賞した気鋭の劇作家・演出家だ。マンガ家や小説家、ミュージシャンなど他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも多く、いまもっとも注目を集める若手劇作家・演出家のひとり。今作にはシンガーソングライターの原田郁子さんが参加している。
藤田さんの演劇作品は、シーンのリフレインを別の角度から見せる独特な手法で、見る人の心を掴んできた。あるひとつの現実や風景も、それを見る視点によって変わっていく。5つの会場で展示する5本の短編映像からなる『歩行と移動』でも、藤田さんならではの作品構成が楽しめる。それぞれの会場の映像作品が、無料で鑑賞できるのも嬉しい。
(c)Takaki Sudo
「演劇作品を劇場で見てもらう環境を作ることが私たちの目的ではあるのですが、まずは最初の一歩として、こういった映像インスタレーションをきっかけに演劇に興味を持ってもらえたら。今回のプログラムは、5本全部をまわることで何か大きな物語が見えるというわけではなく、1本だけ見ても楽しめるように作られています。映像を見てから、自分が歩いてきた道をぜひもう一度歩いてみてください。」（加藤弓奈／同上）
さっき歩いた道が、違う風景に見えてくる……。そんな変化を感じてみよう。
じつは『歩行と移動』で使用されたテキストと、作品画像や制作風景を追った写真を収録したフォトブックが9月末から急な坂スタジオで販売される予定なのだそう。テキストはなんと日中韓英の4ヶ国語で収録。作品世界をより深く味わいたい人は、まずはフォトブックをゲットしよう！
もうひとつの風景に出会う旅のように、ひとつひとつの会場を巡ってみてはいかがだろう？
【イベント情報】
※各場所により、開館時間・休館日などが異なります。ご確認の上、ご来場ください。
【寺】曹洞宗大本山總持寺（間もなくスタート！） http://www.sojiji.jp/
展示時間：10：00〜17：00
最寄り駅：JR鶴見駅・京浜急行線鶴見駅より徒歩15分
【港】象の鼻テラス（9月18日スタート！） http://www.zounohana.com/
展示時間：10：00〜18：00
最寄り駅：みなとみらい線日本大通り駅より徒歩3分
【坂】急な坂スタジオ（9月1日スタート！） http://kyunasaka.jp/
展示時間：10:00～22:00
休館日：毎月第3月曜日
最寄り駅：京浜急行線日ノ出町駅より徒歩5分、JR・市営地下鉄線桜木町駅より徒歩10分
【駅】帆船日本丸・横浜みなと博物館（9月18日スタート！）
http://www.nippon-maru.or.jp
展示時間：10:00～17:00（入館は16:30まで）
休館日：月曜日（祝日の場合は開館、翌平日休館）※ただし、10月14日（火）は特別開館
最寄り駅：JR桜木町駅より徒歩5分
【川】coming soon!
※開始日程などの詳細は、確定次第急な坂スタジオのウェブサイトで告知いたします。
http://kyunasaka.jp/
作・演出：藤田貴大
出演：青柳いづみ、伊東茄那、荻原綾、川崎ゆり子
衣装：スズキタカユキ（suzuki takayuki）
映像：須藤崇規
撮影：安西剛、佐々瞬、三上亮
記録写真：橋本倫史
スタッフ：石井亮介、岩田浩、林香菜、召田実子
制作：加藤弓奈（急な坂スタジオ ディレクター）
企画・主催：急な坂スタジオ
