開港の地、都市・横浜からの発信「ヨコハマトリエンナーレ2017」

Posted : 2017.04.26
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この夏、3年に一度の恒例になった現代アートの国際展「ヨコハマトリエンナーレ2017」がやってくる。今年で6回目を数える本展は、8月4日(金)から11月5日(日)まで横浜美術館と横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜市開港記念会館を主会場として開催される。去る4月18日に開かれた記者会見では参加アーティスト40組(予定)の一部、26組+1プロジェクトのアーティストとプロジェクトが発表された。今回はどんな趣旨で行われるのだろう?

(左から)逢坂恵理子、柏木智雄、三木あき子、小沢剛、宇治野宗輝  撮影:加藤健 提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

 

日本の近代化を象徴する開港の地“ヨコハマ”から発信する都市型国際展

 「島と星座とガラパゴス」をタイトルに掲げ、“「接続性」と「孤立」”をテーマに展開する「ヨコハマトリエンナーレ2017」。コンセプトには昨今の国際社会の動向が色濃く反映されている。記者会見にはディレクターズメンバーの横浜美術館・逢坂恵理子館長、柏木智雄副館長、ベネッセアートサイト直島インターナショナルアーティスティックディレクター・三木あき子、そして参加アーティストの小沢剛、宇治野宗輝が登壇した。横浜美術館が主会場になるのは3回目の本展。逢坂館長は「横浜の歴史」と「横浜らしさ」への意識を語った。

横浜美術館・逢坂恵理子館長  撮影:加藤健 提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

「開港以降発展してきた近代化を象徴する街・横浜のトリエンナーレとして、ほかの芸術祭とどのような違いを見せるかという点について協議を重ねてまいりました。今から150年前にさかのぼる1867年は、徳川幕府が朝廷へ政権を返上した『大政奉還』の年、そしてパリで開催された万国博覧会に日本が正式に参加した年です。この150年を振り返ると、横浜は異なる文化や人々の交流を受け入れて発展を遂げてきました。このような歴史的背景をもつ横浜ならではのトリエンナーレとして、今年はさまざまな趣向を凝らしています。」

1859年に開港場の一つとなったことでインフラなどが整備され、内外の文化や物資、人々が新たに行き交う場になった「横浜」。ひとつの村が世界と接続されたことで国際的な交流の場へと変貌を遂げた文脈を引き継いで展開する本展の見どころに、柏木副館長が言及した。

横浜美術館・柏木智雄副館長 撮影:加藤健 提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

「今回のトリエンナーレは、横浜の近代化を象徴する横浜赤レンガ倉庫1号館と横浜市開港記念会館を、横浜美術館とともに主会場としました。また出品作家のなかには、横浜の歴史に取材して新作に取り組んでいるアーティストも複数名含まれます。更にトリエンナーレを重層的にお楽しみいただけるように、今回のテーマに共鳴する活動を展開する市内の施設や、歴史的なサイトを取り上げて紹介する取り組みも検討しています。」

 

参加アーティストの小沢は、歴史上の人物にスポットを当てたペインティング作品「帰って来たシリーズ」第4弾を出品する。今まさに取材しているのは、インドのコルカタと横浜にゆかりのある人物だ。「帰って来たシリーズ」と言えば横浜では2013年に、野口英世の生涯に独自の解釈とフィクションを交えてストーリーにした『帰って来たDr.N』を小沢は発表している(「小沢剛 高木正勝 アフリカを行く」展、ヨコハマ創造都市センター)。トリエンナーレでの新作に期待が高まる。 

参加アーティスト・小沢剛 撮影:加藤健 提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

 

 

国際的な参加アーティストたち、テーマに呼応した26組+1プロジェクトが発表に。中には横浜にゆかりのあるアーティストも。

記者会見で発表された参加アーティストは、難民の救命ボートやライフジャケットを扱ったインスタレーションを展開するアイ・ウェイウェイをはじめ、リレー形式の作品づくりに取り組むカールステン・ヘラー、トビアス・レーベルガー、アンリ・サラ&リクリットティラバーニャ、ロンドンオリンピックの文化プログラムの一環として取り組まれた《Nowhereisland(どこにもない島/ここが国土)》を発表するアレックス・ハートリーなど、テーマに呼応する27組だ。

また、これまで横浜で活動してきたアーティストも参加する。昨年末、BankART Studio NYK全館を使って開催した大規模個展「ワンダリング・ポジション」が話題を呼んだ柳幸典や、つい先日まで黄金町Site-Aギャラリーで個展「200万年の孤独、さくらと50万光年あまり」を開催していた川久保ジョイ、横浜市民ギャラリーあざみ野の『悪い予感のかけらもないさ』展に版画を出品した風間サチコ、昨年から東京藝術大学映像研究科メディア映像専攻で教べんを執っている畠山直哉も名前を連ねた。小沢をはじめ、横浜にゆかりのあるアーティストたちがどのような表現に取り組むか楽しみだ。

本展に共鳴する市内のプログラムとしては、トリエンナーレとのセット券販売と会場間の無料バス運行が予定されている「BankART Life V」「黄金町バザール2017」をはじめ、「ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017」「YCC Temporary 鬼頭健吾展」などが挙げられる。これら「創造界隈拠点」との連携はもちろんだが、会場の展示構成には横浜国立大学大学院/建築都市スクール(Y-GSA)の藤原徹平研究室がプランにあたっていたり、市内で活躍するクリエイターを巻き込んだグッズのプロジェクトが準備されていたりする。「文化芸術創造都市・横浜」に蓄積された多様なネットワークが存分に活かされているのは、横浜ならではの構成だ。

「ヨコハマトリエンナーレ2017」とそこにあわせて展開される街に広がる様々なプログラム。現在、公式オンラインチケットサイトでは、横浜トリエンナーレの人気グッズ「ヨコトリ(安部泰輔さん作の「横を向いた鳥=ヨコトリ」をモチーフにした布製のバッジ)」スペシャルバージョン付きチケットを期間限定で発売している。3か月後に迫った本展のスタートを心待ちにしたい。 

宇治野宗輝が記者会見で実施したパフォーマンスでつくったバナナジュースで乾杯する登壇者 撮影:加藤健 提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

 

 

【基本情報】

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」

会期:2017年8月4日(金)‐ 11月5 日(日) 開場日数:88日間
休場日:第2・4木曜日(8/10、8/24、9/14、9/28、10/12、10/26)
会場:横浜美術館/横浜赤レンガ倉庫1号館/横浜市開港記念会館 地下
開場時間:10:00 – 18:00 (最終入場17:30)
[10/27(金)、10/28(土)、10/29(日)、11/2(木)、11/3(金・祝)、11/4(土)は20:30まで開場(最終入場20:00)]

詳細はウェブサイトから
http://www.yokohamatriennale.jp/2017/