敷嶋あられ嵯峨乃家本店

Posted : 2013.02.25
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創業110年、お米と向き合う職人が作るあられ。

航空会社のファーストクラス、ビジネスクラスで提供され国内外の人からも愛される「RICE CRACKER」は、横浜市・お三の宮で古くからあられを作り続ける<敷嶋あられ>のもの。<敷嶋あられ>では、昔ながらの手作りのおかきの味が大切に守られています。職人が長年培ってきた感覚で湿度や気温、季節で変化する人の味覚を感じ取り、少しずつタレの味や作業工程を微調整しているので、いつまでも変わらないあられの美味しさに世代をまたいで訪れる常連さんも多いとか。丁寧な作業はそのままに、若い世代にも受け入れられるように「チーズ わさび味」といった新しい味付けにも挑戦しているようです。
Photo: Nahoko Morimoto / Edit , Text: Rio Hirai
※本記事は旧「アートウェブマガジン ヨコハマ創造界隈」2013年2月25日発行号に掲載したものです。

「大鬼」

米の香りと粘り気が、香ばしい醤油と絡まる。

硬くてひび割れた、紀州備長炭で炊き上げた無骨な見かけが魅力的な「大鬼」。しっかりとした歯ごたえと香ばしい醤油の味付けに、思わず次々と手が伸びてしまいます。対照的に、「むかしあじ」のシリーズは懐かしさを感じる素朴で優しい味付け。海苔が巻いてあるもの、チーズ風味のもの、豆のお菓子…と、あれもこれもと食べ進めて、いつの間にかアソートの袋も空っぽに。10cm四方もあろうかといった大きな手焼きせんべい「でっかち」や、長い海苔巻の「嵯峨乃笛」など、あられの種類もバリエーション豊かで、ずらりと並んだ棚を眺めるとあれもこれもと食べたくなってしまいます。

昔ながらの手法で作り続けられてきた、優しい味わい。

四代目の伸行さんが、売り場裏の工場でおかきの煎り方を説明してくださいました。
現在では、大手メーカーでの生産が中心となっているおかき。敷嶋あられでは、湿度や気温などで左右される繊細な風味を守るためにも、機械を使った作業は最低限におさえ、人の手作業を大切にしています。大手メーカーには米粉から作るところが多いのですが、敷嶋あられでは、蒸したもち米をつく昔ながらの手法で作り続けています。米の出来によって風味が変わってしまうのですが、香りが全く違います。厳選された国内米だけを使い、良質な素材の味を生かした優しい味わいは、職人の手で丁寧に作られ、守られてきたのです。

■TODAY’S RECIPE

STEP1

STEP1

お米を炊いて、つき、餅にする。生地は、一定の大きさに切り分けられる。横浜ではもうここでしか使われていないという、大きな煎り窯。陶器でコーティングされた器具を温めて遠赤外線でじっくりと煎る。硬く厚い生地には、熱が通りやすい紀州備長炭を使っている。

STEP2

STEP2

煎られた後は、生醤油からじっくり時間を炊き上げた秘伝のタレで味付け。夏場と冬場では、人の味覚にも変化があるため、微妙に味を調節しているという。

STEP3

STEP3

万遍なくタレを絡めたおかきを乾燥機のなかへ。ムラなく熱風が当たるように、乾燥機から出してかき混ぜ、また乾燥機へ、という行程を4度ほど繰り返す。食感や風味を損なわないように、湿度や気温によって微調整が必要とされる繊細な作業だ。

STEP4

STEP4

出来上がったおかきたち。せんべいは専用の焼き機で焼きあげる。機械はどれも、40年、50年とメンテナンスを繰り返して大切に使われてきたものだ。


※本記事は旧「アートウェブマガジン ヨコハマ創造界隈」2013年2月25日発行号に掲載したものです。
■information

敷嶋あられ 嵯峨乃家本店
Address:横浜市南区南吉田町5-45
TEL:045-261-3464
HOLIDAY:日曜日

■PROFILE
敷嶋あられ
嵯峨乃家本店吉野町駅からほど近く、創業110年を超える敷嶋あられでは現在四代目が工場に立って作業をしている。