関内外OPEN!リレーコラムVol.8

Posted : 2014.01.23
  • mail

はじめまして吉本直聞(又は直紀 *どちらもナオキと読む)と申します。映像表現を軸に様々な表現活動を展開しています。活動歴はかれこれ10年以上。ですが、横浜へ辿りついてまだ半年足らず。最初の活動は黄金町バザール2013招聘海外アーティストのコーディネートでした。拠点だった東京を離れ、まだまだ横浜という土地、地域を把握していませんが、沢山の出会いに恵まれ、刺激的な体験をさせてもらっています。

IMG_2323_br

東京から黄金町へ

IMG_2326_br僕を横浜・黄金町へと導いたのは10年以上の交友関係にあり、現在同じアート複合ビルCHAPにスタジオを構える画家の吉本伊織さんでした(同姓ですが血縁関係ではありません)。彼の紹介のもと黄金町エリアマネジメントセンターのスタッフの皆さん、それから招聘された国内外のアーティストたち、さらに黄金町、日ノ出町界隈の住民の皆さんや沢山のバザール関係者に出会うことになりました。もともと東京生まれ東京育ちですが、少年期に米国へ10年間留学していたので、英会話も可。そのため海外招聘アーティストのコーディネートを受け持ち、彼らの滞在中の日常的な事柄から作品制作までのサポートを務めました。

黄金町へ来るまでは東京でもっぱら映像作家/ディレクター/プランナーとして、映像や舞台の仕事をメインとしていましたが、文化政策やアーティストインレジデンスなどの知識は皆無といって良く、アート業界、街づくり、リノベーション、etc. またそれらを取り巻く行政や地域住民の働き、および現状は、コーディネート業をやりながら徐々に吸収して行きました。現在も模索中で、黄金町という特異な街を如何にアートが貢献すべきか? 街づくりは地域にとって重要な活動であり、アートが地域にコミットする必要性とは如何なるものか? などの問題を日常意識に重ね合わせながら日々を送っています。

バザールでの出会い

海外のアーティストとめぐり合うことでそれまで自分とは別次元にあったインスタレーションをその制作過程から間近で見る事ができたこと、また長年ご無沙汰だった英会話の活用という実質的な収穫はさることながら、彼らと通じ合うことで得られる人としての触れ合い、各国々の条件下でアーティストがそれぞれ生きて行くための問題を知り、共有しあうことの重要性を実感しました。また黄金町に長年生活している住民の皆さんの立場や街の未来像、理想像を察することへの、ひとつの責任感のようなものを感じられたことは重要で、アーティストの社会的役割が観念のそれではなく、まさに実際問題として打ち建てられていることに気付かされたことは、自分としては驚きを隠せません。

映像作家として

バザールドキュメントの編集画面。

バザールドキュメントの編集画面。

黄金町バザール2013では本業である映像制作も携わりました。フィリピンからの招聘アーティスト、ジョーイ・コブコボ氏のプロジェクトに通訳と撮影兼編集で携わりました。このプロジェクトは3年間に渡って101人のフィリピン祖母たちを収録したインタヴュー集の日本バージョンで、黄金町界隈に滞在する孫を持つ男女にインタヴューするというものでした。この取材のおかげで地域の住民の皆さんと割合すぐにお近づきになれることができました。またフランスの参加アーティスト、ピエール・ジャン・ジルー氏の「Shrinking Cities」の映像制作を協力、さらにバザール参加アーティスト全員の制作風景と会期中の模様を取材したドキュメント映像を制作しました(この作品は3時間近い作品で4月の自主イベントで上映検討中です)。 また、より映像作家というスタンスで台湾の招聘アーティスト、タイ・ハンホン氏のインスタレーション作品をフューチャーした短編映画「one piece」をタイ・ハンホン氏とのコラボレーションで制作しました。黄金町バザール2013はまさに「創る」ことの意義やその大切さを作品を通じて他者と分かち合う、そんな貴重な体験を実感できた日々でした。

今後の展望

IMG_2333r以上、ざっと2013年の横浜・黄金町移動後の活動報告のようなカタチになってしまいましたが、作家活動としての2014年の予定はいまのところ4月中旬に黄金町高架下スペースSiteAで横浜移動後初の主催イベントを開くことです。二転三転している企画ですが、とりあえず映像と音の絡み合った視覚的なイベントを計画しています。モーショングラフィックやVJの経験とさらに映画的表現を織り込みつつ、視覚的に面白い展開を現在模索しているところです。 映像とはいわば、無機質の記録媒体であり、関わった人間それぞれがそれを有機的なものに進化させるものなんだ、と思っています。そういう一種、どんな味付けにもなりうる機能性を、黄金町の街づくりにどう作家(=アーティスト)としてコミットし、有効に活かせるだろうか?と考えた時、可能性はまだまだ沢山ありうるだろうし、アーティストが社会に貢献できる役割をさらに模索、探求し、ここ黄金町の地から『なにか面白い事が起きている』現象を発信する一員として日々積み重ねて行きたいと思っています。

さて僕がおススメするランチはずばり、チェーン店で大変申しワケないですが、日ノ出町駅前の「東京チカラめし」です! 普通盛りチカラめしに七味を多めにふりかけ、たんまり生姜をのせてガッツリいくのが近頃の120%ハマりランチです、どうぞ宜しく!

最後に僕が次のコラムのリレーを渡すお相手は黄金町エリアマネジメントセンターの吉岡さんです。黄金町バザールやNPOの運営を裏方として支える彼の目線をうかがい知る機会は滅多にないことなので興味深いコラムを期待しています。

profilepic_02r吉本直聞(直紀)
東京生まれ。映像作家/ディレクター。
インディペンデント映画団体Stavros Filmを立ち上げ映画表現を軸に、映像、マルチパフォーマンス、演劇等の企画、演出やオリジナル映画脚本/戯曲を執筆する。メタサイレント映画「吸血 Sanguivorous」(2010年)は作家の高原英理氏、怪奇アンソロジスト東雅夫氏から高く評価され、北米配給で生演奏上映ツアー、DVDリリースされている。短編「ココロミ」(2013年)が第二回ムービンピック映画祭で金賞受賞。映像プランナーとして多数の舞台で劇中映像も手掛ける。
ディレクターとして映像制作スタジオスタヴロスを立ち上げVP、PV、ウェブ配信、記録映像、企画、制作、スタッフィング、撮影、編集など、様々な映像制作業を営む。近年「黄金町バザール2013」のドキュメント映像をディレクション/制作。